【ダッカ】米中貿易摩擦の余波を受け、多くの衣料品会社がアジア諸国に生産拠点を移している。2度の工場事故で1000人超が犠牲になり、今も安全上の懸念を抱えるバングラデシュでの生産に踏み切る企業もある。
バングラデシュでは2012年と13年に縫製工場で事故が発生し、米ファッションブランドの多くは同国での生産を縮小するか撤退を決めた。だが、撤退していたラルフ・ローレンがこの2年の間にバングラデシュで生産を再開した。
米中貿易摩擦の激化に伴い、こうした動きが加速している。アパレル貿易に関する米政府の統計によれば、2019年上半期にバングラデシュから米国へ輸出されたアパレルは金額ベースで前年同期比14.5%増となった。18年は前年比6.5%増だった。
ダッカを拠点とする衣料品メーカーのウルミ・グループは創業以来、取引のほとんどを欧州企業と行ってきた。だが同社ディレクターのファイアズ・ラーマン氏によれば、昨年からは衣料品小売りのエクスプレスやタルボットといった米ブランドから注文を受け始めている。