空き家率が5割を超えるようになると、さらに深刻な事態になる。管理費・修繕積立金の滞納問題があるならなおさらだ。マンションの補修や修繕に必要な工事費が不足して、マンションの維持管理自体が厳しい状態になる。漏水が頻発し、火災報知機が使えなくなったり、エレベーターが止まったり、ひどい場合は虫やネズミが繁殖したり、カラスやハトがすみ着いたりして、マンションがスラム化してしまうのだ。

 ただでさえ築年数がたったマンションは資産価値が低くなるのに、そうしたマンションは適切な維持管理ができないことで経年以上の劣化が生じ、マンションを売ろうにも売れなくなってしまう。そしてマンションが売れなければ、区分所有者はスラム化し、荒廃した環境に住み続けるしか手はないのである。

管理費・修繕積立金を確実に徴収し
不動産競売も辞さない姿勢が大切

 そんな、想像するだけでも恐ろしい状況に陥らないために、管理組合ができることはなんだろうか。実は、残念ながら、管理組合で対処できることはあまりない。とにかく管理費・修繕積立金の徴収をしっかりしていく以外に手立てはないのだ。反対にいえば、空き家があっても、必要なお金をきちんと徴収できてさえいれば、少なくとも日常の維持・管理や長期修繕計画に影響が及ぶことはないということだ。

 しかし、管理費・修繕積立金の請求には時効があるので、気をつける必要がある。管理費・修繕積立金の請求は民法の債権にあたるが、債権には「消滅時効」があるのだ。消滅時効とは、一定の期間にその権利を行使しないと、その権利が消滅し、請求することができなくなる制度を意味する。

 実は、明治29(1896)年に民法が制定されてから、債権関係の規定はほとんど改正されていなかったのだが、このほど約120年ぶりに改定されることになった(2020年4月1日施行)。ちょうどこの消滅時効についても改正の対象となっており、次のような規定になる。

(債権等の消滅時効)
第166条
1.債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

 具体的には、「権利を行使することができると知った時から5年」あるいは「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早く到達するほうで時効が完成する。通常、管理組合が「権利を行使することができると知った時」は、債権が発生するのと同じタイミングであろうから、基本的に管理費・修繕積立金の時効は5年と考えていいだろう。