糖質制限は効く!が続かない?

 8月某日。銀座のAGE牧田クリニック前にて企画担当のKさんと落ち合うことに。入口で当方の姿が目に入ったKさん、「えっ……すごい!」と目を丸くされる。

「顔の輪郭まで変わって……前と全然違う」

 そうかなぁ……。鏡で毎度いやでも突きつけられる顔なもんで、日々の少しずつの変化には無頓着だったが、タヌキっぽかった顔が多少キツネめいた顔つきになってきたかも、という程度。

「顔の色つやまでよくなって……」
「ああ、保湿剤を最近変えたもんで。でも、糖質制限始めてから以前より体調がいい日が増えました

 クリニックにお邪魔してからも、スタッフの方から前回の訪問に引き続き、改めてお褒めの言葉をいただいてしまう。

「これが……13キロ減……!(そんなですか!)」
「すごい! ありがとうございます!(いや、むしろこちらこそ、ありがとうございます)」

 ううむ、幸薄いおっさんである私、人にちやほやされるのは慣れていない……。これが……、幸せ……なのか?!

 それはさておき本題。牧田善二先生にインタビューだ。

 前回登場の私の先輩の体験談を聞いたり、あるいは「糖質制限の実践レポート書いてますー」と自己紹介して「自分もなんです!」という展開になったり、糖質制限を実践する人にこれまで何度か遭遇した。

 そうした自分の狭い見聞のなかではあるが、「糖質制限は結果が出る」という人はいても、「糖質制限で痩せなかった」という人はいなかった

 そのかわりよくあるのが、「効くけど続けられなかった」「やめたら元に戻った」というパターン。

 一連のレポートを書くうちに、糖質制限を続けられない、あるいは始められない、という理由は、次の4つにまとめられるのではないかと思った。

1) 糖質への食欲が強い、あるいは糖質中毒がひどい場合はその禁断症状に屈服する。
2) 家族や飲み会のメンバーといった、テーブルをともにする人たちと違うものを食べることに抵抗を感じる。あるいは、まとめて料理を作る、あるいは注文するので糖質制限メニューを指定しにくい。
3) 体重減少の停滞期に直面して、あきらめてしまう。
4) ごはんや小麦製品を避けるうえ、肉ばかり食べてしまい、食費がかかって続けられなくなる。

 もちろん、すでに本の中でもいくつか解決策が示されていたり、私個人もいくつか切り抜け方をイメージしていたりする。

 それ以外で、牧田先生が見てこられた、たくさんの患者さんのなかで独自の方法を編み出したような人はいらっしゃいますか? これが、最初の質問だった。

 牧田先生によると、糖質中毒の禁断症状が一番きつい、10日から2週間くらいのあいだに体重減少の停滞期が訪れて、それで糖質制限をやめてしまう人が多いのだという(なお、禁断症状の様子とメカニズムについては、連載第3回をご覧いただきたい)。

 停滞期が来るのはまったく自然なことだ(むしろ、人体のシステムとしての精妙さを示しているのだが)。

 いざというときにエネルギー源にできる体内の脂肪の貯蓄が減り続けるような事態が起こると、身体は、甲状腺ホルモンの出方を調節することで、基礎代謝を落として体重減少を止めようとする。それでもなお糖質制限を続けると再び体重が減っていく。まさに自分が連載第4回で遭遇した状況だ。

 ダイエットをしようとするなら、かなり厳密に糖質を制限しなければやせていかない。おさらいになるが、やせるなら糖質の1日摂取量は60グラム以下だ。ごはん1膳で約55グラム、うどん1玉で約53グラムというから、これらの食品は避けなければならない。今までの食生活とのあまりの違いに、最初は心理的抵抗を感じる人が多いのもうなずける。

 食欲や、禁断症状に耐える、というのは、もう、がんばるしかない。もう、これについて裏技などはなさそうだ。