◎うつ病の緩やかな自然な回復を、あるがままに促します

 森田療法的養生法アプローチは、うつ病の自然な回復過程を助長する、“あるがまま”の養生指導です。

 その第1の要点は、うつ病という病気にかかっている現実をあるがままに受け入れる、ということです。第2の要点は、うつ病の回復過程で「生の欲望」を活性化させ、休息モードから緩やかに活動モードへと転換を図ることです。そのような活動の広がりが回復をさらに促すからです。

 なぜ、このような養生指導が必要になるのでしょうか。うつ病に対する治療は、十分な休息と抗うつ薬を中心とした薬物療法が最も大切です。しかし、およそ2~3割の方はこのような基本的な治療だけではすんなり良くならず、経過が長引いてしまうといわれています。そこで薬物療法を助け、停滞していた回復過程を勢いづけるという補助的な役割を森田療法的な養生指導が担うのです。不安症や強迫症への治療と異なり、病気の原因に働きかけるわけではありませんので、うつ病に対する森田療法はいわば応用編ということになります。

◎うつ病のどの時期にあるかを検討し、共有します

 実際の養生指導は、うつ病の時期によって力点の置き方が異なります。そのために診立ての段階において、患者さんが現在、うつ病のどのような時期にあるかを見極めることは、必須のポイントです。私はうつ病の病期を(1)極期、(2)回復前期、(3)回復後期、(4)慢性期(遷延化)、(5)回復後(中間期)に区別します。

 患者さんがどのような時期にあるかを判断するために、「今回のうつ状態で一番具合が悪かったのはいつ頃でしょうか?」、「その頃と比べて今の状態は多少なりとも軽くなっていますか?」、「それともほとんど変わらず具合が悪い状態が続いていますか?」と尋ねてみます。

 最悪の状態から横ばいのままでほとんど改善のない状態にとどまっていれば極期、多少なりとも良くなってきているなら回復期に入ったものと判断します。回復期では、「本来の状態を100とすると、今は何%くらいですか?」と質問し、60~70%以上を回復後期、以下を回復前期とみなします。

「極期」、すなわち「どん底」の時期は、「果報は寝て待て」というように、休息を最優先にして、行動を促すことは控えるようにしています。