「おしっこのしすぎで絶滅」
「背中が無防備で絶滅」
「方向性を見失って絶滅」……

思わず気になる「絶滅理由」を紹介する『わけあって絶滅しました』シリーズが巷で話題となっている。第1弾が発売されるやいなやテレビ・ラジオで話題となり、第2弾の『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』と合わせて68万部のベストセラーとなった。

児童書として発売された本書だが、意外なことに「生存競争の過酷さ、生き残りのコツがビジネスの参考になる」とビジネスマンからの共感も集めている。生き物達の驚くべき進化、そして襲いかかる理不尽な環境の変化が、現代社会とどう重なるのか。今回特別に『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』の内容を一部抜粋・編集してお届けする。

「強い」と「弱い」は、紙一重

絶滅は、決して「弱いから滅びる」わけではありません。むしろ、その時代大いに繁栄し栄華を誇った生き物ほど、あっけなく絶滅していたりします。

なぜなら「強さ」や「弱さ」は、その時代の環境によって変わるものだから。たとえば、新生代の新第三紀(中新世後期)に日本で絶滅したムカシナンバンダイコクコガネは、ゾウやサイといった巨大生物のフンを主食にしていました。

うんこを食べているからといって、馬鹿にしてはいけません。中新世の日本は気温が高く、ゴンフォテリウムというゾウやカニサイというサイなど、大型動物がたくさん生息していたのです。つまり、ごはん食べ放題のたいへん贅沢な環境です。

ところが、環境が変わって大型動物の数が減ると、当然フンも減少。主食を失ったかれらは絶滅してしまったのです。

逃れられない過酷な運命…。「毒の海で絶滅」したモササウルス

強い者が滅びた例は、数えきれないほどあります。その中でもぜひ紹介したいのが、中生代の白亜紀末に絶滅したモササウルスです。

かれらは最大で全長18m、体重20tにもなる、白亜紀後期の海で最強のハンター。そんなかれらがなぜ、絶滅したのか。『続 わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』では、かれら本人に一人称で語ってもらうという体で、このように理由を説明しています。

俺の牙は確かに奴の急所を捉えていた。だがアンモナイトの殻を砕こうとした瞬間、得体の知れない悪寒が俺を襲った。

コ イ ツ は や ば い ! 

あり得ない。俺にとって奴を食うことなどティッシュを破るのと同じくらい造作もないはず。だが、この冷静な表情は何だ…? 

極限まで圧縮された時間の中で、俺はかつてないほど思考を巡らせた。そして理解した。コイツは死を受け入れている…! 

数年前、地球に隕石が衝突したはずみで毒ガスが発生した。ガスは毒の雨となって海に降り注いだ。そのせいで海のプランクトンなどが死滅。さらに、それを食べる魚やアンモナイトも死に絶えてしまったのだ。 

もっと早く気付くべきだった。コイツは最後の一匹。そして次は俺の番だと! 戦う前から詰んでいたのだ。

かれらの絶滅のきっかけは、白亜紀末に落ちた巨大隕石。これにより、海の環境が激変したのです。隕石の落下地点には硫黄が多くふくまれていて、衝突の衝撃で蒸発した硫黄が硫酸ガスとなり、酸性雨となって降りそそぎました。

そのため、浅い海の生物は死滅し、モササウルスも絶滅してしまったのです。

(本原稿は丸山貴史著『続 わけあって絶滅しました。――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑』の内容を編集して掲載しています)