そもそもの予測方法が間違っているのと、間違いに気づくための多面的な実態把握能力に欠けている。たとえば、住宅リートの稼働率や賃料変動率などのIR資料を見るだけでも、発表に足るだけの予測ではないことはわかるはずだ。

 いずれにしても、空き家は増え続けるという世論が形成されたことは、私が提起している「市場に出てくる空き家が少ない問題」という実態認識を遅らせてしまうことにもつながるため、取り返しのつかない問題になりかねない。

空き家率は下がり
家賃が暴騰する未来

 東京23区を例にとると、空き家率はここ数年下がっており、ゼロ%に近づいている。こうなると、家賃が上がる方向に市場は動いている。それに加えて、日本人と外国人の流入が増加している。その一方、スルガ銀行の不正融資問題以降、金融庁の厳しい監督で賃貸住宅の新規供給は減少の一途をたどっている。

 このため、空き家率はもっと下がると予測される。今以上に空き家率が下がると家賃は大きく上昇する。実際、過去には東日本大震災の被災地周辺で、空き家率がゼロ%になったことがある。家賃は約2年で急騰し、平均で以前の2割増しになった。10万円の家賃ならば12万円になるわけだ。これは家賃においては暴騰といえる。

 つまり空き家問題ではなく、「空き家が少な過ぎる問題」が都市圏の住民を直撃する日が近いのである。そうならないためにも、市況がよいエリアでの新規供給が促されている。世界的に金余りの状況において、視界良好な日本の賃貸住宅市況は、食指が伸びるだけの条件を揃えているからである。

(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)