公務や選挙演説のお供に
「仕込み傘」も開発

 生産拠点が海外に移ってから30年以上の月日が流れたが、それでも日本の技術の先進性は健在だ。たとえば、2010年秋の園遊会にて、美智子皇后(当時)が使用したホワイトローズのビニール傘「縁結」もその1つである。

「製品にもよりますが、現在コンビニなどで販売されているビニール傘は、基本的に風速10メートル程度で壊れてしまうといわれています。しかし、弊社の傘なら20メートル以上でも耐えることができます。あらゆる角度から強風実験を重ねて骨を丈夫にし、ほとんどの傘には突風でビニールがひっくり返らないように、ビニールに(傘の内側にたまった風を外に逃がすための)小さな穴(逆支弁)をわざとあけているのです。さらに縁結は、ビニールを3重層にして、破れにくくしてあるのが特長です」

 仮に、美智子さまがさした傘のビニールが風にあおられてひっくり返り、雨にぬれてしまうようなことになれば一大事である。縁結をはじめ同社の傘は、そうしたリスクを軽減するために、試行錯誤の末に開発されたものなのだ。

 また、日本では、多くの政治家も、同社のビニール傘を愛用しているという。なぜなら、ビニール傘は選挙演説に最適だからだ。黒や茶の傘だと聴衆に圧迫感を与えてしまうが、ビニール傘なら顔が見えるし庶民性を演出することもできる。そうした理由から、既製品より頑丈でサイズの大きなビニール傘「カテール」という製品が開発されたという。

ビニール傘の発明企業がハイテク化で巻き返し、今や王族・外国人も愛用!中棒部分につえが仕込まれている「信のすけ」。年配の父親を持つ女性からの依頼を受けて開発した

 他には、こんなユニークな製品もある。その名も「仕込み傘 信のすけ」。中棒部分につえが仕込まれているビニール傘だ。

「信のすけは、年配のお父様を持つ女性のお客様からご依頼を受けて開発しました。その女性は、お父様につえを勧めたところ、『つえなんて持ったら、行きつけの飲み屋の仲間に笑われる』と断られたそうです。そこで女性は、『それなら杖ではなく傘にすればいい。仕込み傘なら飲み屋で話のネタにもなるから喜ぶだろう』と考え、弊社に相談に来られました」