今、社長の人も、これから社長を目指す人も、さらにレベルアップ、スキルアップするためには、何をどうすればいいのでしょうか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『社長の成功習慣』(ダイヤモンド社、9月5日発売)は、経営者になる人にぜひ身につけてほしい50の行動習慣について解説した社長のための教科書です。本連載では、同書から抜粋して、経営者としていっそう成長するためのポイントについてお伝えしていきます。

良い絵を見て「直観力」と「想像力」、<br />「大局と細部を見る力」を鍛える<br />【前編】Photo: Adobe Stock

アートには、ビジネスパーソンとしての成長を促す力がある

 近年、ビジネスパーソンの間でアートへの関心が高まっています。

 これは、アートには教養を身につけるという目的だけでなく、ビジネスパーソンとしての成長を促す力もあるからだと思います。

 実際、私が社外取締役を務めているポーラ・オルビスホールディングスでは社員向けのアート教育も実施しているのです。

 さて、アートがビジネスとどう関わるのか、みなさんはその理由が分かりますか?

 近年は、SNSやAIの発達により、かつてないほどの情報を収集分析することが可能になっています。いわゆるビッグデータと呼ばれるものは人間が処理できる量をとうに超えており、AIに頼らなければ分析できないほどになっていると言うこともできます。人間の能力だけで分析するには限界があります。

 このような環境変化の中、これまで以上に考えなければならないのは、データに基づいた論理的思考により判断をくだすということの限界についてです。

 たとえば、経営者としてみなさんが何らかの最終的な判断をくださなければならない場面になったとき、得られるデータ量が膨大になれば、「データに基づいた論理的な判断」を行うことそのものが難しくなるでしょう。

 だからといって、経営上の重要な判断までAIに任せればよいということにはなかなかならないはずです。

 では、そこで何が求められるかといえば、それは「直観力」ではないかと思います。

 この点、アートを通じて美的感覚を磨くということは、「真なるもの」「善なるもの」を直観的に見分ける能力を高めることにつながります

 たとえば、企業の方向づけを考えて決断するような場面では、優れた「直観力」が必要になるということです。