運動は70歳から始めても遅くない?
高齢になってから運動を始めても、それまで運動経験がなくても健康に大きなベネフィットをもたらすようだ。運動をしていない70~80歳代の高齢男性でも、運動を始めると、運動経験が豊富な熟練アスリートと同程度に筋肉量を増やせることが、英バーミンガム大学運動生理学・代謝学のLeigh Breen氏らの研究で明らかになった。研究の詳細は「Frontiers in Physiology」8月30日オンライン版に掲載された。
Breen氏らのチームは、年齢をマッチさせた運動経験のない高齢者8人と熟練アスリート7人を対象に、エクササイズマシンを使ったレジスタンス運動を1回行ってもらい、運動前48時間の安静時と運動後に筋生検サンプルを採取。筋肉のタンパク質を構成する「筋原線維タンパク質」の合成率を調べた。
また、アイソトープトレーサーを用いた検査を行い、筋肉内でタンパクがどのように合成されているのか、その過程を追跡した。なお、対象者の平均年齢は、運動経験のない高齢者は73.5歳、アスリートは68.9歳だった。
Breen氏らは、運動経験のない高齢男性よりも熟練アスリートの方が、運動後には筋肉量がより増えるものと予想していた。しかし、結果は予想に反して、いずれの群においても、筋原線維タンパク質の合成率は、運動前に比べて運動後には同程度に増加したことが分かった。