中華圏のユニクロ店舗数も国内超え間近
インド、ベトナムでも今期は本格攻勢

 躍進著しい海外ユニクロ事業の主役は、グレーターチャイナ(中国・香港・台湾地域)事業だ。19年8月期の売上高は5025億円、営業利益890億円といずれも前年同期比で二桁%の増収増益を果たした。

 店舗数も拡大を続けており、19年8月末時点の同地域のユニクロ店舗数は前年同期から81店増の807店舗と、国内ユニクロの817店に肉薄した。今期のグレーターチャイナ地域では100店の新規出店を計画。出店・退店がいずれも30店で店舗数増の予定がない国内の店舗数を、いよいよグレーターチャイナ地域単体で抜くことになる。

 加えて好調なのが東南アジア・オセアニア事業で、売上高は約1700億円と20%を超える増収で、営業利益率も約16%と収入源としての足場が着々と固まっている。「特に好調だったエリアはインドネシア、フィリピン、タイ」(岡崎健CFO〈最高財務責任者〉)。

 そして10月4日にはインド・ニューデリーにユニクロが初出店を果たした。今秋中にニューデリー近郊でさらに2店をオープンする予定で、中国に次ぐ巨大市場を狙う。また12月にはベトナムでの初出店も計画しており、こうした初進出の国も含め、東南アジア・オセアニア地域では今期40店の出店を見込む。「(ユニクロの)高品質なライフウエアは、(現地の消費者に)ご支持いただけると確信している」と柳井会長は自信を見せる。

 海外が好調の一方、足踏みが続くのが国内ユニクロ事業だ。19年8月期の下期は夏物商品が好調でなんとか通期での増収を確保したものの、単価が高い冬物の売り上げが落ちた上期の影響が大きく、通期の営業利益は13.9%減の1024億円と大幅減益となった。

Eコマースに国内復権の期待高めるも
「中国の成功例の後追い」の声

 消費増税など明るい話題がない国内の起爆剤として、ファストリが期待を寄せるのが、Eコマースだ。19年8月期の国内のEコマースの売上高は32%増の832億円。国内ユニクロ事業の売上構成比(EC化率)の9.5%を占めるまでに拡大した。今期も約30%の増収を見込んでおり、国内“復権”の呼び水にしたい構えだ。

 ただ、Eコマースの推進には課題もある。Eコマースは店舗の人件費がかからない一方で、物流費という新たなコストが発生するからだ。国内ユニクロ事業の売上高に占める販売管理費の割合は34.9%で、前年同期から0.4ポイント増えた。人件費はEコマースの拡大や、現在特許訴訟を起こされていることでも話題のセルフレジの活用で0.2ポイント改善した。ところが、物流費は0.4ポイント悪化しているのだ。今期は在庫の適正化などを進めて物流費比率の改善を掲げるが、Eコマースの普及を増益につなげられるかが試されている。

 またEコマースはグループ全体でも推進する構えで、「最高の店舗と最高のECを融合しないと意味がない」と、決算会見に登壇したEC事業を統括する日下正信執行役員は強調した。この日明かされた19年8月期のグループ全体のEコマースの売上高は2583億円で、売上高の11.6%を占める。20年8月期の売上高は3200億円の目標を掲げ、将来的にEC化率30%を目指すという。

 グループ全体のEC化率の数字と比べれば、国内ユニクロのEC化率は低い。現在国内で進めるEコマースの施策も、「中国の成功例の後追いだ」という声が社内でささやかれている。

 Eコマースの取り組みは、17年にオープンした東京・有明本部を「グローバル・ヘッドクォーター(HQ)」に位置付けて推し進める構えだ。だが有明本部の物流倉庫は、立ち上げ当初に在庫管理やオペレーションでトラブルが多発し、担当役員が退社するなど大混乱が起きていた。これが国内Eコマースの出遅れに直結している。

 柳井会長の肝いりで始まった有明プロジェクトではあるが、中国や東南アジアでユニクロが躍進し、名実ともに海外事業が柱になったことで、将来「グローバルHQは有明よりも中国の方が効率的では」と指摘される日が来るのかもしれない。

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