対象となるのは、3つの事業会社に在籍する全社員。期間は11月下旬までに行い、退職勧告ではないとしている。

 ダイヤモンド・オンラインが「キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情【スクープ】」(9月27日付)で既報の通り、キリングループでは、キリンHDと中核会社のキリンビールで45歳以上の管理職を対象に、早期退職の募集を同時期に実施中だ。2月に行った協和キリン(当時は協和発酵キリン)の早期退職と合わせ、グループ全体での人員整理を活発化させている。

 今回はこれまでのキリンビールや協和キリンの例とは異なり、単なる早期退職の募集ではない。対象となる社員は以下の2つの選択を迫られている。

 1つ目は「キリンHD」への転籍だ。これは、ビバレッジやメルシャンといった事業会社の所属ではなく、キリングループにかかわる全ての業務を行う職種だ。

 すでに2015年春入社以降の新卒採用では、キリンHDとして一括採用を行っている。「各社籍の既存の社員をHDに転籍させ、中核意識を持たせることで、業務レベルも引き上げたい」と内部関係者は証言する。

 ただ、転籍後の給与は現在所属する事業会社と同水準になる見込みのようだ。HDの方が賃金テーブルの水準は高いため、等級ランクは下がる。転籍後、優秀な人材が相応の等級へと昇格すれば年収アップのチャンスとなる。

 この転籍は、給与だけでなく、「出世」にも大きな意味合いを持つ。今後の管理職登用はHD籍が中心になると見込まれており、「上を目指す人は、HD籍に移せというメッセージ」(キリン関係者)。

 2つ目は「事業会社籍」のまま残る道だ。これまで行ってきた業務内容を継続することで心理的な負担は小さいが、出世は厳しくなるようだ。「ビールやビバレッジといった事業会社籍でも管理職になれないことはないが、門戸は非常に狭まる」と関係者は打ち明ける。

 なお、同期間でメルシャンの48歳以上の全社員を対象に、早期退職の募集を行っていることも新たに判明した。