社長の立場で考えた場合、苦労して社員に支払った人件費が、相対的にムダに運用されると思うと悔しいのではないだろうか。

 ちなみに、「0.5%」と「1.5%」の意味だが、銀行などの金融機関の窓口で売っている投資信託の運用管理費用は年率1.5%程度のものが多い(外貨建ての保険は実質的な手数料がもっと大きい)。その一方で、0.5%はつみたてNISAで金融庁が認めたインデックス・ファンドの運用管理費用の上限だ。

 筆者は、運用にかかる年間の手数料が0.5%を超える運用商品を決して相手にしない「0.5%ルール」を提唱しているが、対面営業の金融機関が扱う商品はたいてい0.5%の基準を満たさない。従って、このルールを守ると、「悪い金融営業マン」が寄ってこなくなるという見逃せない副次的メリットがある。

 前述のように、必要な金融知識は「手数料の差の重要性」だけではない。金融機関の営業マンの言いなりになっていると、もっともっと損をすることになるだろう。

 社員へのマネー研修が重要であり、有効であることが分かってもらえるだろう。

正しいマネー研修の条件とは?
社員を「いけにえ」に差し出さないために

 先ほど挙げた例からも察していただけようが、マネー研修の講師を取引銀行や主幹事証券会社といった金融機関、あるいは系列の研究所など、金融機関のグループ会社に依頼してはいけない。

 特に、確定拠出年金を導入している会社では、その運営管理機関系の講師が加入者教育をタダで担当している場合が多かろう。しかし、これは「腹ペコの狼に、社員をまとめていけにえの子羊のように差し出すがごとき」不適切な行為だ。経営者であれば、利益相反にもう少し敏感であるべきだ。

 金融機関が送り込んだ講師は、明白なうそは言わないかもしれない。ただ、例えば「毎月分配型投信は全て不適当なので買うべきではないし、持っていたら解約する方がいい。そして、正しい対処方法は……」といった、個人にとって正しくて必要な情報であっても、金融機関グループにとって不利益な情報を十分に伝えることができない。