この傾向は子どもが成長しても変わらない。

 思春期の若者(中学生)の睡眠時間の国際比較では、日本は平均7時間台で、米国より約30分、欧州諸国より約1時間30分も短い。

 睡眠に関する研究や教育で著名なNPO・全米睡眠財団は子どもの睡眠時間について、3~5歳は10~13時間、小学生は9~11時間、中高生は8~10時間を推奨している。

 これと比べても日本の子どもの睡眠不足は明らかだ。

 睡眠不足が子どもの発達や成長の妨げになることは科学的に明らかになっている。

 睡眠が短くなると、夜間の睡眠中に大量に分泌される「メラトニン」「セロトニン」「成長ホルモン」などの分泌が乱れるからだ。

 メラトニンは、日々の生活リズムを調節する機能をもつホルモンで、不足すると良質な睡眠がとれなくなり、規則正しい生活リズムができない。このホルモンは抗酸化作用など、身体を守る作用もある。

 またセロトニンは、脳の機能を高め、感情をコントロールする神経伝達物質であり、不足すれば、脳の発達の遅れや睡眠障害の原因になる。キレたり暴れたり、うつ状態になったりすることもある。

 成長ホルモンは、骨や体をつくり、免疫力を高めて病気になりにくくする。脂肪を分解する作用もあるので、不足すると肥満になりがちだ。

 睡眠不足で規則正しい生活リズムが乱れた子どもは、身体と脳の発達が遅れ、精神が不安定になる可能性が大きいのだ。

大人の睡眠時間も
先進国で一番短い

 日本の子どもの睡眠不足はいくつもの事情が重なって起きている。

 まず日本社会の夜型化が進み、共働きが普通になって、両親の睡眠時間が短くなったから、その影響を受ける。

 経済協力開発機構(OECD)が調べた「15~64歳の睡眠時間」によると、日本は一日平均7時間22分と加盟国で最も短く、加盟国平均の8時間25分より1時間も短かった。