人間は「ムダな仕事」に
突進する完璧主義

 本書のツボを私なりに言い換えると「不完全法」となる。つまり、元々人間は完璧主義なので、時間に対しても歯止めが効かないものなのだ。だから、「不完全である勇気」を持って「最低限」で止める。

 たとえば、重要なことを考える時間は、毎日1時間を限度とする。「頭は1日に1時間しか働かない」がキーフレーズ(拙著『成功術 時間の戦略』文春新書)。著者の説く「長時間掛けて成果が上がらない会議、やめましょう」(18ページ)と同趣旨なのだ。

 もう一つは、「簡単に考えること」「無理をしないこと」の二つ。そのためには「捨てる技術」が必要で、「オフの戦略」が必要となる。著者は、「週休3日の1日は休養と教養に充てているのですが、必ず週に7冊以上の書籍を読むようにしています」(213-214ページ)と書く。

 そのためには「身体の声を聴く」生活になるかどうかが、一番のポイントとなる(拙著『一生モノの時間術』東洋経済新報社)。が、それは「時短術」の上級編となるだろう。またじっくりと語りたい。

 そして最後に、読者の皆さんは「あまりビジネス書を読み過ぎないように」。「時短術」の本を読み漁って時間がなくなることほど、本末転倒はない。かのショウペンハウエルも宣ったように「本の読み過ぎに注意!」。

 それに関しても持論を『一生モノの超・自己啓発 -京大・鎌田流「想定外」を生きる』(朝日新聞出版)で展開したが、ポイントは「今あるもの(本)だけで生きる」。またもや屋上屋を架す。ビジネス書を読み過ぎた私自身を深く反省した懺悔本だ。

 人間が「ムダな仕事」に突進する完璧主義は、それほどまで治らない。自戒の意味を込めて、書評にはいつもこう書く。でも、好きなことが止められないのも、また人生。HONZの皆さんと同じように。

「ムダな仕事」に突進する、完璧主義の人が実践すべき時短術

(HONZ 鎌田浩毅)