OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。

大事な時に判断を間違える人は、見ているようでみていないPhoto: Adobe Stock

現実をあるがままに見ていますか?

OODAループでは、「みる」「わかる」「きめる」「うごく」「みなおす」をフルセットで回すことはほとんどありません。

「みなくても、わかる」「きめずに、うごく」といったショートカットのパターンを、状況や問題に応じて駆使します。だから速いのです。

OODAループは、このような「こういうときには、こうする」の引き出しを増やして、多くの場面で対処できるようにするための思考法でもあります。基本の5つのプロセスの最初のO、「みる」(Observe)を詳しく見ていくことにしましょう。

「みる」には、目に入ってくるものを「見る」と同時に、意識して周りや相手の心などを捉える「観る」の意味があります。

見ることと気づくことの間には大きな隔たりがあります。気づくために意識して、神経を研ぎ澄まして「みる」。これがOODAループのすべての始まりです。

人間は、目をつむっているとき以外は常に何かを見ているので、あらためて「みる」ことを意識するまでもないと思うかもしれません。

しかし、OODAループで「みる」ときは、現実をあるがままに捉えるために、意識して「観る」ことに重きが置かれます。そのためには、主観を排して、客観に徹する必要があります。

そんなことなら自分もしてる? いえ、これが意外と難しいのです。