これから住む人は管理も大事
倒れた植栽が1カ月放置も

「今回の浸水被害は、ハザードマップを注意深く見ればある程度予想できるものだった」――不動産投資家の依田泰典氏はそう話す。

 とはいえ、マンション販売業者が商談の場で、今回のような被害を想起させることをじっくり説明するとは考えにくい。またハザードマップの説明には法的な義務がない。そのため、業者側から説明がなければ、購入者が自ら詳しく調べるしかないのが現状だ。

 二子玉川や武蔵小杉のタワーマンションの居住者も、「購入時の説明でそこまで想定していなかった」と話す。

 一方で、これから価格が下がれば、この辺りで浸水被害が報告されなかった中古物件なら買いたい、もしくは賃貸マンションに住んでみたいという人もいるだろう。

 その場合、「安全安心という観点から管理が行き届いているかというのも大切だ」と依田氏は指摘する。

 実際に、依田氏の自宅付近で台風の影響により、高級賃貸マンションの敷地にある植栽が根元から風でなぎ倒され、1カ月以上放置されていたそうだ。そこは高級賃貸マンションで、家賃は月数十万円クラス。管理会社は誰もが知る大手だという。

 他にも被害があり、人手不足で手が回らなかったのか。単純に管理がずさんなのか理由は分からない。ただ、こうした管理は資産価値や居住の快適性に直結する。管理が行き届いているかどうかは、実際に自分で物件を見たり、販売業者に細かく聞いたりしてみないとわからないことが多い。

 住宅は高い買い物で、不動産業者にもさまざまな災害対策や詳細な説明が求められるのはもちろんだが、購入するのは最終的に自己責任だ。ハザードマップの確認や現地視察、ヒアリングなどで自分の身を守るしかない。