果たして彼らがどういう経営手腕を見せるかは、トロイカ体制が発足してみなければわからない。が、少なくともこの人事自体は意外性もなければ、木村氏が自画自賛する、「日産が生まれ変わる」というような印象を与えるものでもないことは確かだ。むしろ、あまりに旧来どおりの人選だったということが意外とすらいえる。

 指名委員会が100人の経営者候補をリストアップした時点では相当にドラマチックな人材も入っていただろうが、そこから10人、6人…と絞っていく過程でそれらの候補は次々に消え、最終的には最初から有力候補として上がっていた日産人材2人、ルノーの息がかかったアライアンス相手の三菱自動車から1人という、パワーバランスを主眼に置いた無難な人選となった。

 新生日産をアピールといっても、日産単体、アライアンスの両面で崩れに崩れた体制の立て直しに当面専念せざるを得ないということを考えれば、致し方ないともいえる。

指名委員会のスピードは
スローすぎた

 だが、それならそうで、指名委員会のスピードはスローすぎた。経営者が突如辞任を余儀なくされたという事例において「3ヵ月で次の体制に移行できるならばマシなほうだ」という見方もあり、それにももちろん一理はある。しかし、今は自動車業界が技術、ビジネスの両面で大きく動いている時。その大事な時期に2017年秋の完成検査不正発覚からスキャンダルの連続だった日産は、ルノーおよびフランス政府の態度にも問題があったとはいえ、激動の時代に自分が主役級のプレーヤーでいるための貴重なアライアンスにひびが入るは、自らのビジネスも足止めを食らうはという状況だった。

 そんな折、無難な人選、トロイカ体制という、スキャンダル後にありがちな決定をするのに1ヵ月以上を費やし、その体制への移行に3ヵ月をかけるというのは、旧来のやり方から抜け切れない日産を宣伝しているようなものだし、時間ももったいなかった。指名委員会等設置会社に移行したのはゴーンショックで権力集中アレルギーが極まったということもあったであろうが、決断が遅くなるというデメリットのほうが先に出てしまったと、今のところは思わざるを得ない。

新政権は
最初から難しい舵取りを迫られる

 さて、その新政権だが、最初から難しい舵(かじ)取りを迫られる。11月に行われた中間決算の会見では、営業利益は低水準ながら、北米での販売の質が改善され、1台あたりの平均販売価格や利益幅が上昇した等々、改革の成果を強調していた。