ロタウイルスワクチン定期化写真はイメージです Photo:PIXTA

 来年10月1日、ロタウイルスワクチンが定期接種化される。2020年8月以降に産まれる0歳児からが対象。

 ロタウイルス(ロタ)は生後6カ月から2歳までをピークに、5歳までにはほぼ全ての子どもが感染。感染力が非常に強いため、衛生状態が良い日本でも発症予防は難しい。

 発症すると水のような下痢、嘔吐、発熱が生じる。重症化すると酷い脱水症状を起こすため、毎年2万6000~7万8000人の乳幼児が入院、数人の死亡が報告されている。特に初めて罹患した乳児は重症化しやすく、流行期の年末年始~春にかけて看病疲れの親がダウンという話をよく聞く。

 日本では11年に予防ワクチンの「ロタリックス」が、翌年「ロタテック」が承認された。ただ現時点では、全額自己負担の任意接種で1回の自己負担額は1万円前後だ。ロタリックスは2回接種、ロタテックは3回接種なので一連の接種費用は3万円を超える。家計への負担はかなり大きい。

 それでも直近のワクチン接種率は6割以上で、一部助成制度がある名古屋市では15年に9割を超えた。その結果、同市の5歳未満のロタ感染症の入院頻度は、接種前から34.7%減、1歳未満に限ると72.2%減少した。外来患者も5歳未満全体で57.0%減、1歳未満では87.4%減少している。

 効果は証明済みで、定期接種化によって成人や児童、生徒への間接的な感染予防を含め集団免疫の形成が期待できるだろう。

 接種のリスクとしては腸重積症があげられる。スライド式の筒のように腸管が後ろにたくし込まれる状態で、生後3カ月~3歳の乳幼児でよく見られる。原因不明のケースがほとんどだが、ロタワクチン接種後は発症リスクが上昇するといわれているのだ。

 腸重積は6カ月を過ぎると発症しやすい。リスクを最小限に抑えるには1回目の接種を14週6日までに行うといい。2回目、3回目(ロタテックのみ)は、前回から4週間を空けて24~32週までに終了すること。0歳児のワクチンスケジュールは複雑なので、小児科で相談するといいだろう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)