Yahoo!ニュースと本屋大賞が選ぶ「2019年ノンフィクション本大賞」を受賞した『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者、ブレイディみかこさんと、累計発行部数が200万部を突破したアドラー心理学の解説書『嫌われる勇気』の著者、岸見一郎さん。そんな人気書籍の著者2人による特別対談を前後編にわたってお届けする。ライターであり保育士でもあるブレイディさんと、アドラー心理学の第一人者であり哲学者である岸見さんという異色の組み合わせならではの議論が飛び交った。前編では、理想の「親子関係」や「子育て論」を中心としたテーマを展開する。(聞き手・構成/ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久、撮影/田口沙織)
子どもと「一人の人間」として接し
自分で考える力を持つ子に育てる
岸見一郎(以下、岸見) このたびは「ノンフィクション本大賞」の受賞、おめでとうございます。
ブレイディみかこ(以下、ブレイディ) ありがとうございます。『嫌われる勇気』の200万部突破もおめでとうございます。
岸見 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では英国での息子さんとの日常生活を描いておられますが、読んでいて感じたのは、息子さんに対して、大人というか「一人の人間」として接しておられることです。
ブレイディ ええ。子どものことは「体の小さな一人の人間」だと私は思っています。
岸見 そのとおりだと思います。ですから、子どもの意思は尊重しなくてはいけませんし、何かを決め付けて命令してもいけない。
私もそう考えて息子と長く接していたら、彼もたぶん今のブレイディさんの息子さんのような時期を過ごして、今33歳になりました。
大人から見ると可愛らしい子どもというより、生意気だったかもしれませんが(笑)、この子は私たちが育ててあげないといけない、助けてあげないといけない、というようなやわな子どもではなくなりました。