前職で優秀だった人が転職先でつまずくワケ

 一般的に、言語的な文脈を理解する能力と、非言語的な文脈を理解する能力は似て非なるものです。たとえば、「明示された目標に対してはものすごくコミットするが、明示されていない目標(たとえばチームへの貢献、社風改善)に関してコミットしない社員」というのは、意外にも本人の意思の問題ではないことが大半です。どちらかというと「文脈を知っているかどうか」の問題であることが多いのです。

 つまり、「言わなくてもわかるだろう」と思う場合のほとんどは、単純に「育ってきた背景が違うので、どう頑張っても理解できない」もの。「言わなくてもわかる」とは言い換えれば、「言わなくてもわかる人にしかわからない」ということです。その意味で、再現性が著しく低いわけです。

 たとえば、前職で十分に成果を出していた人が転職先でつまずく。その原因のほとんどは、次のパターンに当てはまっています。
 「前の会社では、文脈をよく知っていたから活躍できた」。しかし「今の会社では、言語化されていない“独特の文脈”が多すぎるため、彼ら(非言語理解能力が低い人)には、何がダメで、何がいいのかがわからない」場合です。
 こういうときには、次のようなものが有効な施策だと言われています。

①転職者たちの入社のタイミングを合わせることで、横のつながりをつくる
②同部署のエース社員が行っている「リスト」を人事部が作成し、早い段階で共有する

 要は、いかにして「短期的に、わかりやすい成果が出る環境をつくってあげられるか」が重要なのです。
 最後に問います。あなたの職場も、オープネスが構造的に下がり続ける、「ダブルバインド」の罠に引っかかっていないでしょうか?