「要注意!」の3つの兆候

 これらの場合、組織のほぼすべてが「ダブルバインド」の状態に陥っていることが多いです。メンバーはその組織内において、精神疾患に似たような状態に陥っているのです。具体的には、従業員に次のような傾向が見られたら要注意です。

【的外れな応答】
他人の質問に対し、的外れな答えを返すことがある。周囲の人間から、話をよく聞いていない人物と見なされることがある。

【話せない状況】
思考に割り込まれると神経過敏やうつ状態になり、考えが押し潰されて、まとまらない話になってしまう。思考が潰れることで今までやってきたことは何だったのかという自己喪失に陥る。

【集中力の喪失】
きわめて簡単な業務に集中することが困難となる。

 本来、ある程度の訓練を受け、適正な教育を受けてきたほとんどの人は、適切な状態をつくれば、パフォーマンスを出すことができます。しかし、一度このダブルバインドに陥ると、悪いスパイラルに入ってしまいます。
 「本来の能力を発揮できない→成果が出ない→ダブルバインドが加速する→本来の能力を発揮できない」という流れです。

 したがって、チームや組織にこれらの傾向が1つでも見られた場合、あなたの組織の「オープネス」は低いと言えます。

ダブルバインドには「悪意がない」

 ダブルバインドの難しいところは、「意図せぬ形」で起きることです。ダブルバインドを起こしている側に悪意がないのです。
 たとえば「なんでも相談してほしい」と言いながら、忙しくしている上司の場合、本当に「なんでも相談してほしい」と思っているけれど、単純に物理的に時間が取れないだけのケースも多い。つまり、悪意なくダブルバインドが起きているのです。

 あるいは、言葉の裏側に「隠れている前提」があるケースも存在します。たとえば、次のような場合です。

「(きちんと自分なりに調べてきて、それでもわからないときは)なんでも相談してほしい」
「(日中は忙しくてすぐには答えられないけれど、夕方以降は空いているので、その時間であれば)なんでも相談してほしい」

 上司からすると、別に悪意があってやっているわけではなく、単純にその言葉の前提が隠されているだけなのです。

 意図せぬ形でダブルバインドが起きている場合は、リーダーが「空気や相手の気持ちを理解する能力」が弱いケースもあります。もし自分自身やリーダーが「そうかもしれない」と思った場合、上記のような状態に該当しないかを話し合う必要があります(反対に、あなたの上司が悪意をもってダブルバインドを行っているなら、その組織からは一刻も早く抜け出すことをお勧めします! そこは最悪の職場だからです)。