都立「日比谷高校」を合格辞退した生徒は、どこに行ったのか?小山台高校の部活は「班」と呼ばれ、運動系でも全国レベルの活躍がうかがえる

二番手校「小山台」「三田」の踏ん張りと三番手校の上がり目

 今回は合格可能性60%のラインを示す総合得点により、650点以上の学校を掲載した。おおむね男子得点と偏差値の順で並べている。入試前年の9月時点での模試データに基づく。このデータのタイトルに「都立高校総合得点合格めやす表」とあるように、あくまでも受験生が自分の志望校を選ぶ際の参考になるようなものとご理解いただきたい。総じていえることは、男子よりも女子の総合得点が10点、20点と高いことだろう。

 10年前と現在では入試の仕組みが少し変わっている。例えば、換算内申は満点が51点から65点になっているし、マークシート方式が2016年から全校で導入されたことにより、全体的に学力検査が得点しやすくなっている。また、現在は7:3に揃えられた学力検査と調査書の内申点の割合が、10年前には6:4の学校も中堅・上位校では見られた。

 そのため、総合得点も難関校で10~20点、上位校で30点程度は10年間で上積みされている。

 唯一、10年間比較が可能なものは偏差値となる。旧第1学区で、ここに掲載されている5校はいずれも難化していることが分かる。

 では各校の状況を見ていこう。まず、日比谷男子の総合得点900点は都立高の最高点で、偏差値70もダントツである。

 進学指導特別推進校に指定されている小山台(旧制8中)には文武両道を楽しく実践している雰囲気が満ちている。東急目黒線「武蔵小山」駅を出てすぐという、駅に一番近い都立高でもある。こちらは男女共に偏差値は62だが、女子の方が多めの内申点を必要とする状況だ。穏やかな難度の上昇によって一番校である日比谷との差を埋めるのは容易ではない。

 学校群制度のときに日比谷と同じ11群だった三田は、当時の偏差値とされる63よりも少し下げていたが、この10年間で大きく戻し、小山台と共に二番手校の位置を維持している。都の進学指導推進校でもあり、国立難関校への合格実績の積み増しが課題となっている。

 港区の都立進学校はこれまで三田くらいだったが、旧東京都職員白金住宅地跡地に新国際高校(仮称)の新設が決まっている。30年前に開校した国際(目黒区)、立川国際中等教育学校(立川市)の人気ぶりを見ると、同レベルの進学校になることが予想される。

 九段は中高一貫校に衣替えしたあと、2006年から千代田区の所管となった。千代田区内には私立の有名中学校がたくさんあるが、区立中は麹町と神田一橋の2校しかない。第3の区立中として、区民の倍率優遇もあるユニークな道を進んでいる。

 13群の3校は、品川区にある大崎が総合得点550[換算内申38-偏差値42]に沈み込み、作家・沢木耕太郎氏の母校である大田区の南は閉校になる(跡地には都立大田桜台高がある)など、ぱっとしない中、大田区の人気校である雪谷はなんとか踏みとどまっている。

 小山台と同じ14群だった田園調布も偏差値は上昇傾向であるが、塾の先生などは偏差値55を進学校の目安にしているため、一段の踏ん張りが必要な状況ではある。