親の介護について兄弟で話し合うときのポイント

 では実際、きょうだいで介護について相談する際、どのように話を持っていったらいいのでしょうか。きょうだいとはいえ、盆暮れ正月くらいしか顔を合わせないケースも多く、遠方に住んでいて直接話し合うことが難しい人も多いでしょう。

 介護の状況をこまめに報告し、情報を共有するのに便利なのがLINEなどのツールです。こういったツールを積極的に使って、こまめに情報をシェアしましょう。ただ、このようなやりとりは比較的女性のほうが得意で男性はマメにやりとりするのが苦手な傾向がありますが、苦手意識は持たずに、ルールを決めて、気長にやることが大切です。

 例えば、介護にかかるお金に関することで話し合ったとしましょう。きょうだいによって、経済的な余裕に差があることも珍しくありません。話し合いによって、長男が介護費用を負担し、次男が払えないとなった場合、「長男が負担した分は、相続のときに調整しよう」ということもできます。

 実際の介護を負担するのが長男の嫁であれば、この時点で相続のときに配慮してもらうようにする、月々の介護費用の一部は次男夫婦に負担してもらうなど、話し合っておくこともできるでしょう。こういった話し合いが、介護が発生した時点でできていれば、モメ事は確実に減るはずです。

 介護はそれぞれの家庭で状況も違えば、きょうだい構成も違い、介護度も違います。これがベスト、という正解はないのです。だからこそ、自分たちで落としどころを決めるしかありません。そのタイミングは、「介護の必要が見えてきたとき」です。ここで落としどころをある程度決めておき、状況が変わるたびに話し合って情報を共有するのです。

 そのときに大切なのが「相手の立場に立って考えること」。それが本当の意味での「共有」です。長男なら「もし私が弟だったら」、弟なら「もし私が同居している兄の立場だったら」と考えてみる――これがなかなか、できそうでできません。相続の現場でも、「相手の立場に立って考える」ことができていたら、防げたトラブルがたくさんあっただろう、と想像します。

 相続では細かな知識や節税などの実務的なことも大切ですが、同時に自分の父母や義父・義母からそれぞれの思いや生き方を受け継ぐことにもつながります。それぞれの人から何を相続するのか、また自分がそうなったとき何を遺せるのかなどを思いながら人生を歩んでいくのも興味深いのではないでしょうか。