超訳!学問のすすめ_予告編
Illustration by Yuuki Nara

現代の全ての日本人にお薦めしたい
福沢諭吉『学問のすすめ』

「不幸じゃないけど、割と不安」「常に“このままでいいのか”と漠然と思っている」。あるいは、もっと具体的に「自分は頑張っているつもりなんだけど……。なかなか結果が出ない」と悩んでいる。

 働く人たちの中には、こんな人も多いのではないかと思います。

 そんな人たちに、ぴったりの本があります。いや、さらに言えば、老若男女、全ての日本人にお薦めといえる本があります。

 福沢諭吉の書いた『学問のすすめ』です。

 電力の普及に努め、近代日本の発展を導いた「電力の鬼」と呼ばれる財界人で松永安左ヱ門という人がいます。松永は明治期に諭吉の教えを直接受けていますが、諭吉のことを聖徳太子、弘法大師に並ぶ日本三大偉人であると評しているほどです。

 諭吉は晩年「途方もねえ」というような江戸弁を好んで使っていたそうですが、まさしく、諭吉自身が途方もねえ男でした。

 では、「福沢諭吉の何がすごかったのか?」。あなたがそう問われたら、どう答えますか。

「慶應義塾大学の創始者」だとか、「1万円札の人」などと答えるのが精いっぱいで、出費があった際に「諭吉3枚分かあ」と、嘆くくらいかもしれません。

『学問のすすめ』をきちんと読んだことがある方は少数派なのではないでしょうか。ダイヤモンド編集部の慶應義塾大学出身者に「読んだことがあるか」と聞くと、「へへへ」と笑ってお茶を濁されました。

 実際、あまり知られていないからか、よく誤解されています。「誤解その一」は『学問のすすめ』は子供向けに書かれたというもの。「誤解その二」は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといへり」という序文の印象から、平等を説いた本だというもの。いずれも不正解です。

 多くの人が諭吉の教えを知らないということは、本当にもったいないことです。実は、『学問のすすめ』は、およそ150年前に書かれたとは思えない、現代の人たちにこそ読んでほしい金言、アドバイスが満載なんです。

 教育家であり思想家である諭吉が多くの著作を世に出した当時は、激動の時代。『学問のすすめ』は国家として日本が難局をどう乗り越えるべきかを指南しました。

 その結果、340万部も売れ、これは当時の国民の10人に1人が読んだことになります。実際に明治維新を遂行したのが政府であるなら、諭吉はそのシナリオを書いたともいえます。

 しかし、すごいのはそこだけではありません。諭吉の主張の根底には「人間は独立して生きるべきだ。そのためには何が必要か」というメッセージがあるのです。諭吉自身も自分の力で何事も行い、人格の尊厳を保つべきだという「独立自尊」という言葉を好みました。

 独立して生きるために、コミュニケーションスキルや統計学から論理的な考え方まで指南しました。しかも、それを易しい表現と独特の面白い例えで説いています。

 つまり、150年たっても色あせないのは、人間が生きていく上で備えるべき根本的な姿勢を説いているからなのです。

 ちなみに、先ほど紹介した有名な『学問のすすめ』の冒頭は、後に続く部分を含めてざっくりいうと「人間は平等である……といわれているが、勉強しないから格差が生まれる」となっています。

「今更勉強かあ」なんて思ってはいけません。人生100年時代といわれる今、いつ勉強を始めても遅くはないのです。

 諭吉の何がすごいのか、どのようなアドバイスをしているのか、特集「超訳!学問のすすめ」(1月6日〈月〉〜10日〈金〉の全5回連載)で紹介します。今こそ、学問のすすめ!

第1回 1月6日(月)配信
福沢諭吉が身分制度に縛られなかった鍵は幼少期にあった【漫画・諭吉物語1】    

超訳!学問のすすめ_予告編
Illustration by Y.N.

 全3回の漫画で偉人・福沢諭吉の生い立ちをお届けする「福沢諭吉物語」。その第1回は、1835年の生誕から1850年代の幕末時代までを描きます。諭吉は「門閥制度は親の敵」とまで語るほど毛嫌いしていましたが、当時の武士の身分制度は厳格なものでした。それでも、それに縛られない人物に育った鍵は幼少期にあったのです。

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第2回 1月7日(火)配信
福沢諭吉が幕末の動乱期でも「慶應義塾」で教え続けた理由【漫画・諭吉物語2】

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Illustration by Y.N.

 漫画「福沢諭吉物語」の第2回は、1858年に江戸行きを命じられる場面から戊辰戦争が勃発した1868年までを描きます。諭吉が「慶應義塾」を立ち上げた年に、上野で戦争が始まりました。その大砲の音が響く中でも講釈を続けた諭吉の思いとは?

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第3回 1月8日(水)配信
「学問のすすめ」は打倒・格差社会のための啓蒙の書だった【漫画・諭吉物語3】

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 漫画「福沢諭吉物語」の最終回は、明治維新から1901年に生涯を終えるところまでを紹介。諭吉は、この間に本特集のタイトルでもある『学問のすすめ』を書き上げますが、彼が筆を執った理由は、現代でいう「格差社会」を打倒するためでした。

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第4回 1月9日(木)配信
福沢諭吉は日本のスタートアップ精神不足を嘆いていた【漫画・諭吉10の教え前編】

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 第4回からは、現代のビジネスパーソンに届けたい、すぐにでも効果がある「福沢諭吉10の教え」を2回に分けてご紹介。前編では、諭吉が何よりも重視していた「独立」と、現代にも通じる「ビジネススキル」に関するアドバイスをお届けします。

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第5回 1月10日(金)配信
福沢諭吉は150年前に「日本人は議論ベタ」と指摘していた【漫画・諭吉10の教え後編】

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「福沢諭吉10の教え」の後編では、「コミュニケーション」と「おカネ」に関するアドバイスをご紹介。諭吉は150年前に「日本人は議論ベタ」だと指摘。そして、議論をするときには、必ず議論の目的を明確にせよと喝破していました。

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【参考文献】
●福沢諭吉の著作
『学問のすすめ(いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ1)』(現代語訳 奥野宣之、致知出版社)
『現代語訳 学問のすすめ』(現代語訳 齋藤 孝、ちくま新書)
『現代語訳 文明論之概略』(現代語訳 齋藤 孝、ちくま文庫)
『現代語訳 福翁自伝』(編訳 齋藤 孝、ちくま新書)
『現代語訳 福翁百話 明日へのともし火』(現代語訳 中村欣博、金園社)

●それ以外の著者の著作
『福沢諭吉』(小泉信三、岩波新書)
『独立自尊 福沢諭吉と明治維新』(北岡伸一、ちくま学芸文庫)
『福沢諭吉 しなやかな日本精神』(小浜逸郎、PHP新書)
『福沢諭吉 国民国家論の創始者』(飯田 鼎、中公新書)
『超訳 福澤諭吉語録』(齋藤 孝、キノブックス)
『NHK「100分de名著」ブックス 福沢諭吉 学問のすゝめ』(齋藤 孝、NHK出版)
『「超」入門 学問のすすめ』(鈴木博毅、ダイヤモンド社)
『人間 福澤諭吉』(松永安左エ門、実業之日本社)
『ふだん着の福澤諭吉』(西川俊作ほか編、慶應義塾大学出版会)
『グルマン福澤諭吉の食卓』(小菅桂子、中公文庫)
『明治人の観た福澤諭吉』(伊藤正雄編、慶應義塾大学出版会)
*「超訳」はアカデミー出版の登録商標です。漫画の表現上、誇張している場面もあります。

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