「そうですか、よかったですね。あなたのお話を聞いてもしやと思ったのですが、やはり貧血が原因でしたか。若い女性の不調は、貧血か生理、妊娠である場合が多いんですよ。

 私はあなたの話を聞いて、子宮頸がんワクチンの副作用は確かにあったのだと思いました。それは疑いません。ですが、その後あなたは頑張って努力して、ちゃんと乗り越えたんです。今回の症状は副作用ではなく貧血が原因です。このままちゃんとした食生活をすれば、もう心配ないと思いますよ」

 医師の説明を聞き、真澄さんは涙が出るほどうれしかった。しかし、もやもやした気持ちも湧いてきた。

「ですが先生、まさか貧血だなんて。どうしてほかの病院の先生方は、見つけてくださらなかったんでしょう。あまりにも普通の病気で、なんだか悔しいです」

「そうでしょうね。同じ医者として申し訳ないです。既往があると副作用と決めつけて、思考停止しちゃうんですかね。あるいは勉強不足か、怠慢か」

「だって、ちゃんと娘の話を聞いて、血液検査をすればすぐに分かったはずですよね。でも、どこでもそんな話はしてもらえませんでした」

 娘は元気に、一人暮らしと通学を再開し、真澄さんは安心して田舎に戻ったが、もやもやは消えない。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)