どんな「メモ」を残せばいい?

 たとえば、クライアント先を訪問していないのに、「訪問した」と虚偽の日報を上げてきた部下がいるとします。

 その部下と面談を行う際は、声を荒げて叱るのではなく、「先日、クライアントにお会いしたら、担当の方はあなたに1ヵ月以上も会っていないと言っていました。先週訪問したという日報の記述は間違いですか?」と事実を確認するスタンスで問いかけるのです。

 もしも部下が黙りこくってしまったとしたら、しつこく追及せず、「今後は日報に、クライアントに会ってやりとりした内容も簡単に記しておいてください。そうすると、私が単独でクライアントに会ったときに食い違いが出ずにすみます。私はメンバーとのやりとりを忘れないようにメモしていますが、今日のやりとりはこれでいいですか?」と、確認し合いながら冷静に粛々と指導し、メモをとります。

 このメモが後々、万が一、コンプライアンス部門からの追及を受けたときに反論する材料にもなります。

 営業所長が「メモ魔」になってからは、クレーマー社員も観念し、素直に仕事をし始めました。「勝手な想像」ではなく、「事実」に基づいて問いかけるため、「この営業所長はごまかしが利かない」と思われているようです。

 事実に基づいて対話し、記録に残す。これで「パワハラだ」と指摘されて自分がよからぬ疑いをかけられるリスクを回避でき、効果的な指導ができます。