「優しさ」と「怖さ」の効果的な使い方

 上司は部下に、こんな声をかけています。「期末の評価で後の祭りにならないように、期中は厳しく、細かく言ってきた。よく応えてくれたね」

 部下が自ら設定した目標を達成させるためには「怖く」。
 でも、行き詰まって相談に来た場面や、目標を達成できた場面では「優しく」。

 
 彼は怖さと優しさを効果的に使い分けていたのです。今、日本のほとんどのリーダーが、これとは「逆」のことをしています。

 期中は部下が何をしていても「いいぞー」「よくがんばっているな」とおだてて「優しい上司」ぶり、期末の評価では一転、「君、これができていなかったよね。だから評価は2」と怖い顔で事実を突きつける。部下にしてみれば「できていないならできていないって、早く言ってくれればいいのに」と感じ、不信感を抱くでしょう。

「期首」「期末」の関わり以上に重要なのが「期中」です。期首に目標を固め、期末にそれが達成できたかどうかを見るだけなら、リーダーは必要ありません。期中にいかに「優しさ」と「怖さ」を使い分けながら部下と関われるかが肝です。

もし、怖い上司を演じるなら

「怖い上司」として接するときに注意したいポイントがあります。「そう言うお前はどうなんだ」という突っ込みどころを部下に与えないことです。

 自らも高い目標に向かって行動しているリーダーが「怖い上司」として接するのは効果的ですが、自分はぐうたらしているくせに部下にばかり厳しいリーダーが「怖い上司」として接しても、単に「部下に厳しく自分に甘いだけの人」という印象を与えるだけで、反発を招きます。

「怖さ」を効果的に受け止めてもらうためには、自らを律し、常に自らを高める姿勢を見せ続けなければなりません。