伝統的に「探究」を取り上げてきた「武蔵」

迷走する大学入試改革を横目に、日本の教育のあり方は急速に変化している。とりわけ、これからの時代を「生き延びる力」を培うために、高校で導入される「探究」的な学びは、生徒自らが問いを立て、その解決をしていく思考の実践となる。高大接続で大学側も入学者選抜と大学での学びに「探究」に代表されるような新しい教育の成果を生かしていくことになる。最先端の学びの姿を、各分野の第一人者と分かち合う絶好の機会が新年早々、催される。(ダイヤモンド・セレクト編集部)

初公開!男子御三家「武蔵」の授業風景

 公職選挙法の選挙権年齢は一足先に「18歳」となったが、成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられるのは2022(令和4)年4月からである。

 過渡期にあたる令和2年の成人の日、2020年1月13日に興味深い無料公開シンポジウム(NPO法人学校支援協議会主催)が開催される。これまで、「グローバルリーダーを育てる中学・高校の学びとは」「いまなぜ高校が変わるのか」「人工知能で生き方が変わる」といったテーマで年に一度開催されてきた。

 4回目となる今回のテーマは「探究的学びと高大接続」。春先にはNHKEテレでの放送も予定されている。2020年が最後となる大学入試センター試験の実施前週に、最先端の学びの姿に触れる良い機会となりそうだ。

 当日の目玉の1つが、東京私立男子御三家である「武蔵高等学校中学校」で実際に行われている授業風景がVTRで紹介されること。元祖「自調自考」の武蔵の教室にTVカメラが入るのは初めてということで、これだけでも一見の価値がある。他にも、佼成学園中学校・高等学校、佼成学園女子中学校・高等学校、桐蔭学園、武蔵学園、武蔵野大学中学校・高等学校、明法中学校・高等学校での活動が報告される。

 当日の顔ぶれは豪華である。5人のパネリストの中には、高大接続の現場で奮闘し、理想と現実のギャップを体験した先生もいる。

(左上)河添健(かわぞえ・たけし)慶應義塾大学総合政策学部教授(前学部長)
(中央上)溝上慎一(みぞかみ・しんいち)桐蔭学園理事長
(右上)杉山剛士(すぎやま・たけし)武蔵高等学校中学校校長
(左下)日野田直彦(ひのだ・なおひこ)武蔵野大学中学校・高等学校校長
(右下)北原達正(きたはら・たつまさ)子どもの理科離れをなくす会代表

 まず、慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部元部長で、慶應義塾大学総合政策学部前学部長の河添健教授。総合政策学部は、「実践知」を理念とした「問題解決のプロフェッショナル」の育成を掲げており、湘南藤沢キャンパス(SFC)では新しい入試の姿も他校に先駆けて実施してきたという実績もある。数学者として、生徒には苦手意識を持たずに数学を楽しんでほしいという気持ちを持っている。

 桐蔭学園の溝上慎一理事長は、京都大学高等教育研究開発推進センターの前教授であり、アクティブラーニング研究の第一人者。学校から仕事・社会へのトランジション(移行)にも関心を払い、桐蔭学園トランジションセンター所長も兼ねている。

 2019年4月より武蔵高等学校中学校校長に就任した杉山剛士氏の前職は埼玉県立浦和高校長。武蔵OBで、教育社会学が専攻。浦和第一女子高の教頭も経験、埼玉県の教育行政にも長く携わってきた。

 日野田直氏の前職は、大阪府立箕面高校の公募校長。2014年の着任当時、全国の公立学校最年少の36歳だった。帰国子女として海外での教育体験を生かし、進学実績を向上させ、2018年より現職。2019年に武蔵野女子学院中学校・高等学校から武蔵野大学中学校・高等学校に校名変更し、中学を共学化した。

 北原達正氏はもともと、京都大学などで宇宙物理学や情報教育の教鞭をとってきた。2003年に「子どもの理科離れをなくす会」を発足。科学&ロボット教育を通じて、未来に通用する人材の育成に努めている。(一社)国際科学教育協会の代表理事も務める。