寒くなってくると、「なんとなく調子が悪い」という人が増えてくる。手洗いやうがいで病気がうつらないようにする努力とは別に、自宅の環境を変えることで体調を整えることはできないだろうか。“家の空気環境”の専門家に話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 吉岡綾乃)
風邪でもないのに調子が悪い……
くしゃみや咳、鼻づまり。そういえば喉も少しイガイガする。風邪を引いたのだろうかと風邪薬を飲んでも良くならない――そんなときは、ハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎を疑ってみるといいかもしれない。ハウスダストは総称で、個別に見ると、ホコリ、カビ、ダニの死骸やフン、ペットの毛、花粉、PM2.5など。アレルゲンがハウスダストか花粉かという違いで、春の花粉症と似た症状が続く。
こうしたアレルギー性鼻炎の患者が、日本では年々増えている。厚生労働省の資料によると(※)、2001年に日本アレルギー協会が全国調査をしたときに全国平均約12%だった鼻アレルギー患者は、2006年に全国11カ所で行った有病率調査では47.2%となったとある(同じ調査方法ではないので単純には比較できないが)。また、リウマチ・アレルギー対策委員会報告書によれば、2005年には日本の人口の3人に1人だったアレルギー疾患の患者数は、2011年には2人に1人に増えている。
もう一つ、この時期「なんとなく体が不調」「疲れやすい」という場合、寒暖差の大きさが原因なことがある。自律神経の働きにより、人間の体はできるだけ体内の状況を一定にするべく、周りの気温に合わせて体温を調節しようとする。前日比や朝晩、室内外などの気温差が7度以上ある場合には、人によっては自律神経が乱れて頭痛・肩こり・めまいなどが起こったり、くしゃみや鼻水など鼻炎のような症状が出たりする(寒暖差アレルギー)。
屋外だけでなく、家の中の温度差も要注意だ。急に体が大きな温度差を感じると、血圧が急激に大きく変動する。その結果、心臓や血管に疾患が起こるのが「ヒートショック」だ。冬場、寒い浴室で血圧が上がった状態から、熱い風呂に入って血管が拡張して血圧が急低下し、めまいや脳梗塞などを起こして倒れる、というのが典型例。ヒートショックは10度以上の温度差があると起こりやすく、特に11~2月の時期に多い。
※厚生労働省資料「アレルギー疾患対策について」(PDF)