リーダーも「ああしんどいわ」と弱音を吐いていい

また、これだけ転職が普通になって、企業の採用条件やクチコミまでオープンになっていると、会社選びの条件は給料や待遇だけに限らなくなります。むしろ今は、経営者に魅力があって、何かしらの愛情を感じられなければ選ばれない時代になっている。

その愛情は弱さと関係していると、10年ほど前から世界のグロバールリーダーの間では認識されています。
つまり、成功体験や美談ばかり語る経営者よりも、自分の失敗や弱さをさらけ出してオープンにできる経営者のほうが人々に愛されているんです。

――リーダーが自分の弱みを見せることは、オープネスの条件である「経営開放性」や「自己開示性」を高めると著書にも書かれています。それは、北野さん自身も実践されているのでしょうか?

僕、よく泣くんですよ。映画とか観ても感動してすぐ涙が出てくる泣き虫なんですけど、そういう素の部分は隠しませんね。体調もすぐ壊すから、「ああ、しんどいわ」ってしょっちゅう弱音を吐いている。

そう言うと社員が「大丈夫ですか?」って心配してくれます。これが30年前だったら、「経営者たるもの、人前では病気でも普段通りに振る舞うものだ!」とお叱りを受けるかもしれません。でも普段人と話す時に、「今日はちょっと体調が悪くてさ……」って言うのは、普通のコミュニケーションですよね。それが職場でできないほうがおかしい。

個人として見ると、血が通っている人間らしさがあるのに、法人という人格になった途端に人間らしさが失われてしまう。その閉塞感と業績の関係の構造を明らかにして、問題解決のための理論をデータで示したのが『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』のつもりです。