夫の茂雄さん(仮名・31歳)に抱きかかえられるようにして整形外科を受診すると、鎮痛薬と筋弛緩剤と湿布薬を出された。痛みは軽減されたが、完全に消えはしなかった。それでも頑張って復帰し、ほどなくして国家試験に合格。保育士として働き始めて数カ月が過ぎた頃、今度は腰と首から肩、両腕にも痛みが出た。

 つらくて、痛くて、食欲もない。整形外科での治療はまったく効果を感じなかったため、ペインクリニックを受診、神経ブロック注射と、不安や筋肉の緊張に効くデパス(エチゾラム)という薬を処方されたがやはり効果なし。

 痛みはついに全身に広がった。

もしかして難病かも
専門医は「線維筋痛症」と診断した

(ひょっとしたら、大変な病気なのかもしれない)

 そう考えた夫婦は、ネットで調べ、「線維筋痛症」という病名を発見した。

 患者会のHPには、「原因はまだ未解明/全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがある/痛みは軽度のものから激痛まであり、耐え難い痛みであることが多い/随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴う事もあり、症状は個人差がある/死に至る病ではない/男性よりも女性に多く、中高年の方に多い」(「線維筋痛症友の会」参照)といった記載を見つけ、これだと確信した。

 サイトには、そのほか、「人口の1.66%、約200万人の患者がいるのではないか」と発表されており、重症化すると、軽微の刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で激痛がはしり、自力での生活は困難になりますが、重症化する前に早めに受診して対策することが必要」とも書かれていたため、とにかく急いで、ホームページ上にある線維筋痛症の診療で有名なクリニックを探し出し、駆け込んだ。

 医師は祥子さんの話を聞くと、鷹揚(おうよう)にうなずき、言った。

「線維筋痛症ですね。大変でしたね。まずは、痛みを取りたいですよね。効果のある薬を出してあげますよ」

 患者会のHPには、さまざまな検査をすると書いてあったが、それらは一切なされないまま、リリカ(プレガバリン)と麻薬にあたる鎮痛剤を処方されるが、体に合わず、ひどい吐き気と頭痛に襲われたため、3週間で服用停止した。