「自分の土俵」で部下を育てる方法

 自身の営業に部下を同行させれば、自分の時間を削らずに部下を育てることができます。

 リーダー自身のクライアントに会う前、Bとは「今日の商談では、ここの説明をしてくれ」とあらかじめ打ち合わせをしておきます。そして上手にできたらほめ、「今度は自分の商談でも活かしてみよう」と背中を押します。小さな成功体験を「リーダーの土俵」で積ませてあげるのです。

 部下の営業に同行しても、いかんせん「成果を出せていない部下」の仕事ですから、クライアントとどのような関係を築けているのか心配です。商談が、同行して指導するようなレベルにまで進んでいない恐れもあります。

 一方、リーダー自身の商談ではクライアントとの関係も築けており、何より「商談がどこまで進んでいるか」がすべて把握できています。その中で、部下に欠けている部分の経験を積ませてあげれば、リーダーの時間を犠牲にせずに成長を促すことができます。

 部下の時間を削ることになり、負担をかけるかもしれませんが、そもそもパフォーマンスを思うように発揮できていないわけですから、大きな影響はありません。「自分の土俵」に持ち込むもうひとつの利点は、部下育成にクライアントの協力を得られることです。

「明後日の商談には、部下のBを同行させてもよろしいでしょうか。Bに商談の経験を積ませたいのです。Bに商品説明をさせまして、至らぬ部分は後で私が責任を持ってご説明いたします。Bの説明をお聞きいただき、わかりにくいところはご指摘いただけませんでしょうか」

 あらかじめこのようにお願いしておけば、クライアントから部下のBに直接指導してもらうことができます。クライアントからの直接指導は、上司からの指導より効き目があることでしょう。あなたの時間を奪われすぎることなく、部下を実戦形式で育成できる。「自分の土俵」に部下を巻き込む育成法はいいことずくめです。