地力8割、駆け引き2割で戦う

 現在の僕は、大会で通常は「地力8割、駆け引き2割」というバランスで戦っています。かつては「地力5割、駆け引き5割」だったので大きく変化したことになります。

 状況依存の行動をテーマに練習するような場合を除いて、普段の練習では試合以上に地力を意識しています。オープントーナメントでは様々な相手と戦って勝ち抜く必要があるからです。

 確かに、人読み(対戦相手の動きを読むこと)などの状況依存の行動は強力で、ピタリとはまると絶大な効果を発揮します。地力では到底かなわないような相手にも勝ててしまうことも珍しくありません。しかし、相手が実際にどう動くかはわかりませんし、一度はうまくいっても次も同じように通用するとは限りません。
 状況依存の行動は、その場にフィットしなければ、何も得るものがなく終わってしまうこともある諸刃の剣なのです。だから過度に頼ると大会成績が安定しません。そして今は、昔と違ってマークしなければならないプレイヤーが大勢います。全員に対していちいち駆け引きを用意することは現実的ではなく、頼ろうにも限度があるのです。

 また、地力によって安定した試合運びをしたり、相手をコントロールできるからこそ、要所における駆け引きの精度も高まります。駆け引きは、フィクションのヒーローがとどめに使用する必殺技のようなもの。「ここ一番」以外ではなるべく使わない。そのくらいの心がけが、今の環境で勝つためには、ちょうどいい塩梅なのです。