手取り年収は、どこにも書いていない!
自分で計算が必要

 額面年収がわかったところで、「手取り年収」を計算しよう。「計算しよう」と書いたのは、手取り年収は、その金額がどこにも記載されていないからだ。

 深田調査によると(対象、相談者)、90%前後の人が「支払金額」の右欄の「給与所得控除後の金額」を「手取り年収」だと思っている。「額面」、「手取り」が並んで表記されていると考えるのだろう。しかし、これはまったくの間違い。

 前述のように「源泉徴収票」は、勤務先が税務署に提出することを目的としているので、税務署が必要とする情報が満載であり、みなさんが知りたいことがストレートに書かれているわけではない(納税者フレンドリーではないということ)。

「給与所得控除後の金額」については、あとで解説するとして、もっと重要な「手取り年収」の計算方法について解説しよう。

 手取り年収=額面年収-所得税-社会保険料-住民税

 源泉徴収票からわかるのは、額面年収、所得税、社会保険料の3つ。住民税は、源泉徴収票には記載がない(所得税の源泉徴収票だから)。1年分の住民税を知るには、給与明細にある1カ月分の住民税の金額を12倍して算出するか、5月くらいに配布される「住民税決定通知書」を参照するかのいずれかの方法となる。

 ちなみに「住民税決定通知書」は、お住まいの自治体がみなさんの勤務先に送るもので、これもまた言葉足らずのわかりにくい書類。「今年の住民税額」などとは書いてない。1年分の住民税額は「特別徴収税額」という欄にある。

 税務用語で、「特別徴収」とは「天引き」のこと。これに対して「普通徴収」は、納付書払いや、口座引き落としの納付方法のこと。つまり、「住民税決定通知書」とは、自治体があなたの勤務先に対して「この人の住民税が決まったから、給与天引きして、まとめてうちの自治体に納めてね~」とお願いする書類なのである。

 手取り年収を計算するためのシートを用意した(図版2)。下記を利用して、昨年の「手取り年収」を計算してみよう。

 図版(1)の額面年収820万円の人の手取り年収は、次の通り。

額面年収820万円―所得税約31万円―社会保険料約126万円―住民税約39万円(給与天引き月3万2358×12)
=手取り年収約624万円

 はぁ、820万円もの給料をもらっても、手取り、つまり使えるお金は約620万円。なかなかきびしい現実だ。額面年収は「責任の重さ」で、手取り年収は「暮らしのサイズのもと」だ。両方把握しておくべきだろう。

 また、よく「税金が高い」という声を耳にするが、よほどの高収入でない限り、税金よりも社会保険料の負担のほうが重たいのである。自分の収入にかかる、所得税や住民税、社会保険料の金額も年1回のチェックをしよう。