五輪後のマンション暴落説に根拠なし、調査データが語る「鉄板の買い方」東京五輪後にマンション価格が暴落するといわれるが、それは根拠のない言説だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

不動産市場が苦境に陥っても
マンションは暴落しない理由

 東京五輪の年になった。東京五輪後は不動産価格が下がると懸念する人が多いが、そんな根拠はどこにもない。とはいえ、気になる人も多いだろうから、過去に起こったことを確認しておこう。それは「いつ、どこにマンションを買った人が得をしているか」ということだ。

 マンション価格に最も影響を与えるのは、1に立地、2にタイミングだ。まず、新築マンションの分譲年別に各住戸がどのように中古で売り出されたのかを見てみよう。

 2013年に始まったアベノミクスでは、デフレ脱却を目標に「3本の矢」が放たれた。その1つは「金融緩和」だ。お金を多く刷ると、インフレを起こしやすい。特に、銀行が日銀から借りたお金は、貸し出さないことには逆ザヤで損失になる。そのため、金融緩和された資金は担保の取れる資産への購入資金として貸し出される。

 日本では、その最たるものが不動産になる。このため、金融緩和は不動産のインフレを必ず招いてきた。それを伝えるべく、筆者はダイヤモンド社から本も出した。

 その中で、「2年後に新築マンション価格は25%上がる」と書いたが、その通りになった。予測をする場合、時期も明確に書くのが作法だ。今、不動産価格が下がると言っている人が、「いつまでに何%下がるか」を明確に言わないのは、無責任でしかない。

 現在の不動産価格はアベノミクス以降の7年で高くなったが、その前のピークは2008年のリーマンショック前だった。米国のサブプライムローンに端を発する世界的な経済危機は「100年に一度」と言われた。実際、日本の給与水準は平均で3%程度大きく落ち込んだ。こんなことはこれまで一度もなかったことだ。