ブリーダーの殺処分が
バレない理由

 犬や猫の販売は、生き物だけにトラブルもつきもの。最近、業界のネガティブなイメージを払拭するため、大手ペットショップでは子犬や子猫の遺伝子検査を始めるようになった。遺伝子疾患を発症しやすい遺伝子を持っていることを知らずに販売してしまい、後々ペットに症状が出てきて飼い主とトラブルになるケースも多いため、子犬や子猫の健康を担保するのが目的だ。しかし、その検査の中身は不十分である上に、検査自体が新たな問題の温床となっている。

「遺伝子検査といえば聞こえは良いものの、実際には重篤な遺伝子疾患の検査しか行われていません。日本はまだその分野は遅れていて、検査ができる項目がかなり少ない上に、その必要性に対する意識が低すぎるのです。遺伝子検査を始めたこと自体はペット業界の進歩といえますが、一部しか行わないのであれば健康を担保したとはいえません。

『健康な子犬・子猫』とうたっているペットショップがありますが、飼い主が望むような健全なレベルとはいえないのです。さらに気になるのが、検査で引っ掛かった遺伝子疾患の遺伝子を持つ子犬や子猫、その親犬や親猫(子にその遺伝子があれば親も持っている可能性がある)は最終的にどこに連れていかれているのか…ということです」

 需要があるため、引き取り屋という商売も存在し続けるのだ。

 そもそもブリーダーが過剰に犬や猫を供給し、遺伝子疾患のリスクに十分配慮しないため、引き取り屋のような商売が成り立つわけで、この“元栓”を締めない限り解決は難しい。

「闇処分の一部はブリーダーの段階でも行われています。悪徳ブリーダーの中には、引き取り屋に払うお金も惜しいため、商品にならない子犬や子猫を遺棄したり、自分で殺処分したりしている人もいるようです。

 19年6月に改正された動物愛護法では、繁殖犬や繁殖猫、販売される子犬や子猫にはマイクロチップを装着し、登録することが義務づけられましたが(公布から3年以内に施行)、ブリーダーの段階では子犬や子猫は装着前なので遺棄・殺処分をしても明るみに出ることはありません。また、現行の法律では飼育施設や繁殖回数などに具体的な数値規制もないため(環境省令として検討中)、事実上、犬や猫の過剰繁殖と闇の殺処分が、し放題なのです」