夫が育児・家事に積極的だと
第二子以降が生まれやすい?

加藤 男性の育児・家事参画時間が長い家庭のほうが第二子以降が産まれている割合が高いということが、データで示されています。さらに男性が積極的に育児に参加することで、女性の就業継続にもつながります。少子化対策にも女性活躍にも、「男性の育児休業」が重要な役割を果たすのです。

 1子目が産まれた後の女性の就業継続は、2010~14年のデータで5割を超えました。これをもっと高めていくことが重要です。

小室 まさにそうですね。今、産後の妻の死因1位は「自殺」です。産後うつによるもので、そのピークは2週間から1カ月です。この時期に夫が育児休業をとれないと、夜中の授乳で睡眠が分断され、外気にあたることもできず、たった1人で薄暗い部屋の中で睡眠不足で育児をし、産後うつが悪化してしまうわけです。

 増え続けている児童虐待への根本的な対策のためにも、この時期の母親を支えるべき夫が、職場を休める環境を徹底してつくらなくてはなりません。

 今まで「少子化対策だから子どもに何かしないと」「女性活躍だから女性を優遇しないと」と語られがちでしたが、本当は「男性の働き方を変えないと」だったわけですね。とりわけ、スタート地点である妻の出産直後に、妻と同じレベルで育児の戦力になれるかどうかの修業が、男性育児休業だといえますね。

加藤 また、共働き世帯が増加し、男女の役割分担の意識も変化している中で、子育てに積極的に関与したいと考える男性も増えています。ただ、会社ではまだまだ言い出しにくいという雰囲気もあります。

 こういった男性の希望が叶うことで、職場への満足度が高まり、さらに意欲を持って仕事をしていくことにもつながります。育児を通じてこれまでにない経験をしたり、人脈も広がったりするわけです。

小室 本当にそうですね。そこから新しいアイデアが生まれたりすることもあるので、会社にとってもメリットが大きいはず。実際に、男性の育児休業取得率を高めた会社では、妻が再就職できたケースも増えたし、その結果、夫にもさまざまなインプットがありました。

小室 インフルエンザで学級閉鎖が起きると、子どもは元気を持て余しているのに親は出勤できなくなってしまう。それならば「子連れ出勤できるスペース」があると良いのではと、商品化した不動産会社もありました。「テレワーク」をもっと推進して、自宅からでも仕事をできる体制を整えようと、一気に整備が進んだ会社もありました。

 こうしたイノベーションが生み出されることで業績も上がり、震災・パンデミックやオリンピック時に対応できるサステナブルな働き方のトレーニングにもなります。

加藤 現在、小室さんにも委員を務めていただいている「イクメンプロジェクト」委員会などを通じて、男性が育休を取得しやすい職場風土の醸成を促しています。積極的に参加してくれる経営者の方や首長さんが増えていることを、心強く思っています。

小室 あとは、育児休業給付金として現在給料の67%の額が支払われる制度についてです。社会保険料の免除もあるので、手取りの約8割は保証されているといえますが、給付金の上限(2020年2月現在30万4314 円)があることから、やはり金銭面での不安も大きいようです。給付金の引き上げなども、検討されていく必要がありますね。厚生労働省の男性職員の育児休業取得状況はいかがですか。