北九州市が第2位という不思議
見えてきた現地調査の杜撰さ

「通いの場」については、既に、介護保険法を改定して地域支援事業を制度化し、自治体主導の「地域づくり」の仕組みを作ってきた。全国の市町村は13年度から「通いの場」の箇所数やその内容、参加者数とその属性などを調べており、厚労省のホームページに全市町村の数値が示されている。

 最新の18年度では全国で10万6766カ所、参加者は202万1747人となっている。参加率は高齢者比で5.7%である。6年間でそれぞれ、2.5倍、2.4倍、3.3ポイント増えているという。

 しかし、こうした数値には疑問を抱かざるを得ない。自治体の現地調査がかなり杜撰なことが分かったからだ。

 18年度で「通いの場」が最も多いのは大阪市で、第3位は横浜市。共に高齢者数が全国1、2位だから納得できる。ところが第2位は北九州市で2280カ所、6万3177人とある。北九州市は人口94万人で政令市の中では13番目の規模。20の政令市のなかで、18年1月時点の高齢化率は29.8%と最も高い。それでも高齢者数は28万3000人で、11番目にすぎない。

 横浜、名古屋、神戸、京都の各市の高齢者数は40万人を上回る。それなのに北九州市は、「通いの場」の参加者が全国第2位であり、3位の横浜市を大きく引き離している。参加率も22%と極めて高い。高齢者向けの地域支援事業で北九州市が有名だとか、モデル例として取り上げられたことはほとんど聞かない。なぜ「通いの場」が隆盛なのか。

 前年の17年度はわずか400カ所、7744人。1年の間に参加者が8倍に急増している。疑問が湧かざるを得ない。

 北九州市に聞くと、「ふれあい昼食交流会の活動を初めて加えたので増えた」と説明する。同交流会は、市内110の「北九州市食生活改善推進員協議会」が呼びかけ、地域の高齢者が月1回各市民センターに集まる。実は20年前から同規模で続けている。その活動を「通いの場」と初めて認め、カウントしたという。この1年の間に新しく始まった活動ではない。

 加えて、本来の参加実人数でなく、「延べ箇所数と延べ人数を算定した」という。毎月実施しているから12ヵ月分である。これでは、数値そのものがおかしいことになる。あきれてしまう。

 突出した数字に疑問を抱かなかったのだろうか。尋ねてみると、「ほかの自治体の状況は見ていない」という回答だった。