「失敗するケースについては想定したくない」あるいは「長期投資だったら必ず成功すると信じたい」と考えて、「悪い事態」を無視したがる人は、現在の個人投資家にも少なくない。

 彼らは、しばしば「長期投資なら、絶対大丈夫ですよね?」と問う。しかし、「絶対大丈夫」ではないからこそリスク資産には「リスクプレミアム」(リスク負担を補償する追加的なリターンのこと)が期待できるのだ、という原理に気付いていない。「絶対大丈夫」と言うことはできない仕組みになっているのだから、運用が損失に至った場合のことも考えておくべきなのだ。

 個人の運用の場合、統計学で言う「マイナス2標準偏差」くらいのイベントのレベルで「一応の最悪」を想定し、その損失に耐えることができるか否かの目処を持つことが必要だ。

 例えば、3600万円持っている人は、老後を30年(=360カ月)と想定したときに、毎月10万円取り崩すことができる。この人が運用で資産の1割、つまり360万円損をした場合、老後の取り崩し可能額は毎月9万円になる。この場合、「9万円でも生活は大丈夫だ」と思えるなら、この人は360万円損をする可能性があるリスクを取ってもいいということだ。

 インデックスファンドによる投資なら損失額の3倍程度、つまり1080万円までリスク資産に投資できる。「いざというときには360万円までの損失にとどめて、老後を年金収入+毎月9万円で暮らせるようにしよう」という腹積もりが「プランB」だということになる。

お金の運用計画にあたっては
まず「リスク」、次に「リターン」

 お金の運用計画をつくるときによくある間違いは、(1)先に目標リターンを決めて、(2)後でリスクをなるべく小さくするように調整する方法を使うことだ。

 この場合、リスクが過大になる(これは大変!)こともあるし、過小になる(これはこれでもったいない!)こともある。