「今の世界がどうなっていて、どんな問題があるか」が出発点

 では、本題に入ります。

 まず、みなさんは、『教育格差』(ちくま新書)という本をご存じでしょうか。
 素晴らしい本ですが、いっていることは極めて簡単です。
 教育については、政治家を含めそれぞれの人が自分の経験に基づくエピソードを持っているので、思いつきでいろんなアイデアを出す。
 だが、思いつきでも政策は出せるが、エビデンスに基づかない政策は意味がない。税金の無駄遣いだ。だから、教育をよくしようと思ったら、エビデンスを見なければいけないという本です。
 この本を読むと、データで見れば、親の経済状況や住んでいる地域によって、構造的な格差があることがよくわかります。

 そういう意味で、何事を考えるうえでも、まず現状分析、今の世界がどうなっていて、どんな問題があるか、を理解することが、すべての出発点になると思います。

 続きは次回にしましょう。

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。