そして19年1月22日以降、妻に指示して食事をさせず、立たせ続けた。そして飢餓や極度のストレス状態で、ショックや致死性不整脈、溺死のいずれかで死亡させたと述べた。

 そして、勇一郎被告は日常的・継続的な虐待の末に死亡させたと強調。残虐な行為を繰り返したにもかかわらず、この期に及んで心愛さんに責任を転嫁している、と指弾した。

 弁護側は、心愛さんを死亡させた責任を認めた上で、勇一郎被告が当時、インフルエンザで出勤停止になっていたと説明。心愛さんが食事をしていなかった事実を知らないし、妻に食事させないように指示もしていないと反論した。

 また立たせたり屈伸させたりはしたが、長時間ではないと述べた。

 死亡した当日は心愛さんがお漏らしをしたため、掃除させようとしたら暴れたと主張。浴室に連れて行きシャワーを2~3秒、3回ほど繰り返し浴びせ、落ち着いたと思ったら壁を背にして崩れ落ち、呼び掛けに反応がなかったと説明した。

 また「児相に保護されるきっかけのアンケートに記載された暴行の事実はなく、骨折した暴行も知らない」「心愛さんが宿題を途中で投げ出し、注意すると暴れた」「妻への暴行は、妻の心愛さんに対する暴行を制止するためだった」と訴えた。

事実は既に決着、争点は量刑だけ

 勇一郎被告は「罪を争わない」としながら、虐待行為を否認。そして「しつけを超えた」と反省の弁を口にする――。

 いまひとつ理解しがたい主張だが、要約すると「手を上げることはあったが、しつけを少し逸脱した程度で虐待ではない」「死亡したのは虐待の結果ではなく別の理由」とでも言いたいのだろう。