▼「爆発的に面白い!! 『図工2』の僕が、現代アートに惹かれる理由がわかった」(中原淳氏/立教大学経営学部 教授)▼「『考える』の前に『観る』がある。『観る』がなければ『考える』もない」(山口周氏/独立研究者)▼「美術は『思考力』を磨くための教科だったのか!とわかる本」(藤原和博氏/教育改革実践家)▼「人間の『知覚』と『表現』という魔法の力を解放してくれる一冊!」(佐宗邦威氏/戦略デザイナー)

論理もデータもあてにならない時代、論理・戦略に基づくアプローチに限界を感じた人たちのあいだで、「知覚」「感性」「直感」などが見直されつつある。そんななか刊行され、各氏がこぞって大絶賛するのが、『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』という書籍だ。

現役の美術教師でもある著者が、中高生向けの「美術」の授業をベースに、「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出し、それによって「新たな問い」を生み出すという「アート思考」のプロセスをわかりやすく解説している。700人超の中高生たちを熱狂させ、大人たちもいま最優先で受けたい授業とは――?

レオナルド・ダ・ヴィンチは「誰」に雇われていたのかPhoto: Adobe Stock

「ルネサンス画家」と「20世紀アーティスト」の違い

前回までの授業では、アンリ・マティス(1869〜1954)による《緑のすじのあるマティス夫人の肖像》という作品を鑑賞してみました。

あの作品を見たとき、多くの人はこれが本当に「20世紀のアートを切り開いたアーティスト」の「代表作」といえるのだろうかと、疑わしく思えてくると思います。「色」「形」「塗り方」のどこをとっても褒められるものではありません。とくに、色使いはめちゃくちゃですから、「もっとうまい絵はほかにもあるはずだ」と感じるはずです。

▼参考記事▼
●「20世紀アートを切り開いたスゴい作品」で考える、私たちの知覚の「ざんねんな現実」
https://diamond.jp/articles/-/229512

●違和感に気づける人の「知覚」はどこが違うのか?
https://diamond.jp/articles/-/229513

しかし、いったいなぜ、マティスは自分の妻をあのように描いたのでしょうか?
それを読み解くには、西洋絵画の歴史を、さらに500年ほど遡る必要があります。

……といってもご安心を。この授業の目的は、美術史の知識を得ることではありませんから、みなさんの「探究」に必要な要点だけを、できるかぎり嚙み砕いて解説します。