一番ややこしいのは
企業型加入者の利用方法変更

(3)の「企業型確定拠出年金加入者の利用方法の変更」については、少しややこしいので頭を整理しながら聞いてほしい。

 現在、仮に企業型の加入者であっても、iDeCoに加入できるようにはなっている。しかし、これはあくまでも建前上のことであり、法的には可能というだけであって、実際には企業型を導入している会社の中でiDeCoへの同時加入を認めているところはわずか3.6%しかなく、ほとんど行われていない。

 この理由は詳細に書くとややこしいので、ごく簡単に述べることにする。企業型の積み立て可能な掛け金上限額は、2通りあって、月額5万5000円か月額2万7500円のどちらかである。一方、iDeCoのそれは、企業型が導入されている会社に勤めるサラリーマンである場合、最大でも上限2万円であるから、こちらの方が上限額は低くなる。

 もし同時に実施するのであれば、掛け金上限額を少ない方であるiDeCoの上限額まで引き下げなければならない。企業型の掛け金は企業が出すものであるから、そうする場合は、企業が出す掛け金を引き下げることを規約に定める必要がある。規約は労使合意で定められるものなので、「個人が掛け金を出すことで、その分の企業側が負担する掛け金を減らす」、などという労働者側に不利益になるような合意は、まず認められるはずがない。したがって従来は事実上、同時加入が不可能であったのだ。

 ところが、今回の改正ではこの制約が撤廃され、企業型の掛け金上限額に対して掛け金額にまだ枠の余裕がある場合は、その分を個人がiDeCoを使って掛け金を出すことが可能となる。つまり会社が出すお金に加えて自分も追加で出すことで、目いっぱい非課税枠が使えることになるので、これは大きなメリットになると言っていいだろう。

 ただし、一点気をつけるべきなのは、企業型の場合は口座管理費用は会社が出すのが一般的だが、iDeCoの場合は個人で負担することになるし、口座を2つ持つことになる。加えてiDeCoは会社の制度ではないため、さまざまな手続きも自分で行う必要がある。

 であるとすれば、企業型で従来、会社の拠出に上乗せして社員が自分のお金を拠出できる制度、いわゆる「マッチング拠出」を採用している企業であれば、必ずしもiDeCoを利用せずともマッチング拠出を使った方が良い場合もある。ただ、これはケースバイケースであるため、詳細については法律が決まった時点であらためて解説をしたいと思う。

 iDeCoの改正については、報道や記事だけでは落とし穴がある場合もあるので、しっかりと調べた上でどう利用すべきかを検討したいところだろう。本コラムでもいずれまた詳しく解説をしていきたいと思う。

(経済コラムニスト 大江英樹)