もう1つの重要な違いは、純ガソリン、純ディーゼルだけでなく、電気モーターと内燃機関を併用したハイブリッドカー、さらには充電可能な大型バッテリーを積み、短距離ならBEV(バッテリーEV)のように外部電源からの電力だけで走れるPHEV(プラグインハイブリッド)も禁止の対象になるとしていること。

 ハイブリッドカーはあくまで省燃費技術であるため、エンジン車と同じ扱いを受けるのはわからなくもない。が、再生可能エネルギーを使えばCO2排出量ゼロで走れるPHEVも禁止というのは異例の厳しさ。EUも乗用車の1kmあたりのCO2排出量を65グラムに抑制することを決めているが、イギリスの規制はそれどころではない。

 クルマに内燃機関を使うことは、プラグインドライブができようがカーボンオフセットの燃料を使おうが、絶対ダメということだ。

 欧州は地球温暖化防止のためにCO2を削減することを絶対正義として掲げ、それを否定するアメリカと激しい政治的闘争を繰り広げている。EUから離脱したイギリスがどういう振る舞いをするか注目が集まっているが、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)の開催地であるグラスゴーで、いきなり「EUなど甘い」と言わんばかりの先制パンチを繰り出した格好である。

 だが、現実問題として、2035年に内燃機関自動車の廃止は可能なのだろうか。

課題を解決できるというメドは
ほとんど立っていない

 総括的に言うと、技術的、経済的に果てしない困難を伴うであろうが、可能性ゼロとは言い切れない、といったところであろう。

 車両側については、15年という期間があれば今のBEV、FCEV(水素燃料電池車)のネックになっているエネルギー貯蔵技術はある程度の進化が期待できる。BEVの場合はバッテリーの充電受け入れ性の改善と耐久性向上、そしてコスト。FCEVの場合は高コストで効率も悪い高圧タンク方式に代わる水素貯蔵法の考案。こうしたボトルネックが解決されれば、新エネルギー車への全面移行に光明が見えてくる。

 問題は、現時点でこれらの課題を明瞭に解決できるというメドはほとんど立っていないということだ。

 BEVの場合、次世代バッテリーとしてソリッドステートバッテリー(全固体電池)が話題に上ることが多いが、バッテリーの先端分野の研究者たちに本音を聞くと、実用可能な全固体電池の性能は理論値として掲げられている素晴らしい数値よりかなり低いものになり、現行のリチウムイオン電池に対して一気に数倍というようなものにはならない可能性が高い、という答えが返ってくる。