(2)経営陣批判

 ○○君もあそこまでのぼりつめたはいいが、実はあまりうまくいっていないらしい。だいたい××のような手法を適用したのが間違いだし、そもそも責任者の□□は△△さんの腰巾着で出世した昔からダメなやつだった……などと、自社の事業がうまくいっていないことを特定の人の能力のなさに帰して批判する。

 本来はそこでやり玉に挙がっている経営陣のメンバーより自分の方が能力は高いのにという、ジェラシーと問題の指摘がないまぜになって、なかなかにエネルギーと情熱のこもった長尺の批判が繰り広げられる。ここでの会話には一理や二理くらいはあるのだと思うが、非建設的であり、聞いていて気持ちのよいものではない。

(3)空想未来

 データ資本主義の時代になると、○○のような状況が訪れる、Google は既にこんなことをやっている、DNAが判別できることを前提にすると社会はこうなる、世界はこれからこうなっていく、など今後の社会について特に技術の発展で世界が大きく変わることについてのたいへん浅い会話が続く。

 多少の物知りさんが若干名いて、科学的根拠の薄いネットの“あおり記事”をもとにした会話をしている。聞いている人たちも話している人たちも、それらの未来は、遠い未来のことであり、自分たちとはまったく関係のないものとして、会話を楽しんでいる。

 しかしながら、それらの変化は空想の話でもなく、遠い未来のことでもなく、会社としてすぐに対策を講じなければならないものである。ひとしきり話したあとは、「そんな時代になったら大変だなあ。でもそのころ俺らはもうこの会社には居ないから(笑)」で終了である。しかし、彼らが逃げ切れるほどの時間的余裕は、おそらくない。

(4)地政学的なテーマ

 トランプ大統領が韓国寄り、中国寄りになると日本国の安全保障はどのように変わるべきかというシミュレーションなど、博識で知的レベルの高さを思わせる会話もするが、(3)と同様、自社の事業との関わりはあまり深く考えることなく捨て置かれる。陰謀論が大好きな人もいる。

 これもまた、基本は人ごとである。

(5)趣味

 もう完全に会社に来ている意識がない会話が延々と続く。ゴルフ、将棋、演劇、ランニング……会社は遊びに来るところではないが、遊びのような話ばかりをしている。

 会社は仕事をするところだろう!と糾弾したくなる。