若手マネージャーの「落とし穴」とは?

――この春から、新しくマネージャーになる人も多いと思いますが、経験がまだそこまではないと、最初は大変ですね。

 マネージャーにアサインされたからといって、むしろ気負いすぎたりしないくらいのほうがいいと思いますよ。

 本書の中に「すぐれたリーダーは時間をかけて成長する、そしてそのリーダーシップをつくりあげるのはチームだとビルは信じていた」とありましたが、リーダーはメンバーが認めてくれて、初めてリーダーになれるわけです。

 新しくマネージャーになる人は「こんなビジョンでいく」「だからこれをやれ」と部下を焚きつけたくなるくらい熱い思いを持っている人もいるかもしれません。でも、そこにリスペクトや尊重する気持ちが足りず、マイクロマネジメントに陥ってしまうと、うまくいかないものです。僕自身、過去にそういった経験をして、すごく反省したことがあります。

 とりわけ昨今のように、ビジネスが複雑化してくると、部下のほうが専門性が高いといった状況も増えてくるでしょう。

 だから部下に対しては、人として成長することを支援したいという思いがちゃんと伝わるよう、リスペクトを持ってコミュニケーションをとることが最低限、必要だと思います。

 そして彼らが困ったとき、困難にぶつかったときには、先陣に立っていちばん汗をかき、傷ついてでも自分が全身で責任をとるというくらいの人が真のリーダーだと思います。信頼してくれているあの人の期待に応えようというところまで思わせることができたらすごいですよね。

――本書の中で好きな言葉があれば教えてください。

 やっぱり「ビルならどう考えるだろう」という言葉ですね。究極的な選択でこれをやるべきか否かとか、AかBかとか、あるいは不可逆的な意思決定といったときに、ビルのようにブレない軸を持ち続けられるか。難しいけれど大事なことです。

 もうひとつ「敗北しているときは、大義に改めて向き合え。先陣に立つんだ」という言葉も、身が引き締まる思いがします。

 Google共同創業者のセルゲイ・ブリンに「明晰な頭脳と温かいハートを併せ持つ、希有な存在」と言わしめたビルはまだまだはるかに遠い存在ですが、「愛」と「誠意」「献身」「決断力」を大切に、自分自身も成長していけたらと思っています。

――本日はありがとうございました。