上場株式、ETFなどは換金性に優れた資産

負けない投資家になるために<br />忘れてはいけない、<br />たった1つの投資のコツとは?安東隆司(あんどう・りゅうじ)
RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 CFP、日経CNBCなどTVコメンテーター、海外ETF専門家、立教セカンドステージ大学講師 三菱UFJ銀行で17年、三菱UFJメリルリンチPB証券(出向)、ソシエテ・ジェネラル信託銀行勤務という、メガバンク、外資系証券・信託銀行で約26年の勤務を経験。その後半はプライベートバンカーを務め金融商品の運用について熟知。販売手数料(コミッション)を目的にしない、世界的潮流である「預かり資産管理」(フィーベース)のビジネス(RIA)を行う、独立系・投資助言業(内閣総理大臣登録)を2015年立ち上げる。著書に『個人型確定拠出年金iDeCoプロの運用教えてあげる!』(秀和システム)など。 WEBサイトhttps://ria-japan.co.jp/

 どんなことなのかは、日本のバブル期の不動産投資を振り返るとイメージしやすいかもしれません。

 不動産価格の下落により、金融機関からの借入の担保(借金のカタ)が足りなくなり、何かを追加しなければならなくなる、という状況です。大き過ぎる借金の場合などは、今後の返済に心配があると金融機関に判断される場合もあるでしょう。

 そして返済に滞りが発生し、追加する担保がなくなると、売却せざるを得なくなります。買った値段より「はるかに安い価格」でも売却して借金の清算をせざるを得ないという状況になったのです。

 お金を貸している金融機関は、全額返って来ないよりは、他よりも先に自分の借金を少しでも返して欲しい、と借り手に不動産(担保物件)の売却をし、一部でも借金を返すように迫ったわけです。

 このような例がたくさんあったために、不動産の価格は、あれよあれよという間に大きく下落し、投げ売り相場となったのでした。もっと値段が下がるかもしれないので、少しでも早く売ろうとしたため、一段と値段が下がったのです。

 実はグローバルな金融機関では、「金融商品を担保」にする借入、いわば金融商品レバレッジ(ローン)を利用できる場合があります。考えてみれば、不動産を売却するのには数ヵ月かかる場合がほとんどです。不動産は換金性(流動性)に欠けるカテゴリーだと言えるでしょう。

 しかし、上場している株式やETFなどでは数日で資金化することができます。

 上場株式、ETFなどは換金性に優れた資産だといえます。不動産を担保にするよりも回収時のロスが少ないカテゴリーだとも考えられるのです。

 さて、リーマン・ショックの時には、過大なレバレッジを利用していた投資家が存在しました。そして価格下落から担保の不足が発生し、投げ売りをせざるをえない投資家が続出、世界的なリスク回避(リスク・オフ)が広がっていったのです。

 ここで売らざるを得ない投資家は、大きな損失を確定させることになります。例えば100で買った資産が、30の市場価値しかない時に売却すると「70の損失を確定させる」結果になってしまうのです。