國學院は独自に企業訪問
企業研究カタログを編纂
國學院大學は、とにかくサポートが手厚い。國學院といえば、神道研究の神道文化学部が有名だが、文学部、法学部、経済学部、人間開発学部を設置し、18年度の就職率は96.6%となっている。
まず、特筆すべきは企業へのアプローチ。16年にキャリアサポート課の改革を開始し、同課の専任職員9人を中心に、優良企業約260社を手分けして年2回訪問し、どのような学生を求めているのか、望む人材像の変化も含め、細かく調査している。
さらに各社から同大への個別のメッセージも聞き出す。その調査結果を一社ずつレポートにまとめ「國學院大學企業大研究」という分厚いカタログにする(写真)。自学の就活生だけのために、ここまで手間と時間をかける大学はそうないだろう。
サポートはこれだけではない。主に訪問した企業が参加する学内企業説明会や、各企業の担当者が講師となる業界研究セミナー、空港や銀行支店などで、業務の現場を見学する見学会、優良企業OB・OG約80人が集まるアドバイス会などが実施され、学生は最低100社にプレエントリー(資料請求)することが奨励される。「知る」ことなしに、企業や働くことへの興味も生まれないと考えているからだ。
さらには各企業の人事担当者や人事部長による模擬面接まである。大手金融機関に内定したある学生は「模擬面接では人事部長が対応してくれ、非常に緊張したが、実際の就職面接ではその人の部下が面接官で、全く緊張することなく和やかに面接できた」と語る。
キャリアサポート課を所管する藤形正俊学生事務部長は「夏以降ほぼ毎日、説明会など就活関係のイベントがあるが、私たちができることは企業と学生の接点を増やし、場をつくること。頑張るのは本人。就活に前向きでなかった学生も、人に会い、説明を聞き、企業研究をするうちに興味が広がり、企業ごとの雰囲気の違いも説明できるほど知識も深くなる。もっと知りたい、ぜひその会社で働きたいと思うようになって、最終的には就活が楽しかったと言う学生が増えた」と言う。
内定した4年生が就活生をサポートする体制も盤石だ。内定者アドバイザーによる相談窓口を設け、曜日ごとに5、6人の優良企業の内定者が就活生の相談に乗る。順番待ちの長い列ができることも珍しくない。航空業界に内定した学生は「アドバイザーの方が就職してからも、LINEで、実際にはどんな社風なのか、何を面接で聞かれるのかなど、細かい相談に乗ってもらっていた」と語る。
内定者が後輩である就活生のメンターやロールモデルとなって親身に世話をする。そのサポートで内定した学生がまた、次の学年にも同じようにサポートする好循環が生まれているのだ。