「住」が守られれば
子どもと家族の「住」も守られる

 またニューヨーク州は、3月16日、強制退去手続きや強制退去命令の実施を4月16日まで即時停止した。学齢期と就学前の子どもを含む家族の住居喪失に対しては、もともと最優先で迅速な対応が行われている。合法滞在者なら、子どもともども路頭に迷う可能性は少ない。さらに、すべての人の「住」が守られれば、子どもと家族の「住」は守られやすくなる。

 その間にも、休校を視野に入れた準備は進んだ。学校が提供している食事とケアと教育を、どう代替するのか。段取りが整えられつつあった3月9日、市内で7歳の小学生の感染が確認された。市長に対して休校の必要性を訴え続けていた学校教員たちは、市への働きかけを強めた。

 3月15日の日曜日、市長は3月16日から4月20日までの休校を宣言した。朝食と昼食は、袋詰めを学校で配布することとなった。また、どうしても働きに出なくてはならない親を持つ子どもたちには、日本の学童保育のようなケアが確保された。

 一連の成り行きを振り返ると、生存と生活のために必要な資源、特に住居の確保が、やや先行して進んでいた形だ。全員に対して、生存と生活に必要な資源を確保すると、休校中の子どもたちのケアが確保しやすくなる。さらに学校での食事の配布を確保すれば、子どもたちの生命と健康は、何とか守れるだろう。もちろん、教科教育も非常に重要なのだが、生命や健康に比べると優先順位は少しだけ下がる。

 学校のオンライン授業は、3月23日に開始される予定だ。報道によれば、公立学校の100万人以上の生徒たちのうち30万人は、必要な環境が家庭にない。このため、アップル社を始めとする大手企業の協力のもと、市はオンライン環境の整備にあたっているという。

 しかし休校から1週間後、オンライン授業を予定通りに無事に開始できるのだろうか。「この1週間で、生徒たちに配布されそうなiPadは2万5000台」という報道もある。その調子なら、全員に行き渡るのには少なくとも10週間が必要だ。不安や懸念は尽きない。