ともあれ、ギリギリの綱渡りの結果、ニューヨーク市の休校が開始された。綱渡りの主役は、子ども・親・住民・市役所職員・市長・州知事を含む関係者全員だ。際どいバランスのもとでの綱渡りは、今後も続く。

日本に必要なのは「総動員」か
それとも「公共」の再構築か

 3月4日から休校となった日本でも、数多くの人々が多様な活動を行っている。

 欠食しがちな子どもや家庭環境に懸念のある子どもは、放置されているわけではない。日本には3700カ所以上の「子ども食堂」があり、居場所活動も学習支援活動もある。「みんなで集まって」という通常の形態での開催は困難だが、できることはあるだろう。たとえば「子ども食堂」の食事を、ランチボックスに詰めて各家庭に届けることは、数多くの地域で行われている。

 しかし今回は、夏休みと同程度の期間の休校を、親の収入減少や失職が重なった状況で乗り切ることとなる。収入減少が引き金となった家庭内の暴力も、家賃滞納による住居喪失もあり得る。「子ども食堂」の担い手として期待されてきた地域社会は、今や何かを失いそうな人々のストレスでいっぱいだ。

 財政出動が必要なのは間違いない。しかし、おそらくそれだけでは済まない。小さくなり過ぎた日本の「公共」を再構築する道のりを歩みはじめる必要があるはずだ。それは、子どもたちや「社会的弱者」と呼ばれる人々を含めて、誰もが「ここで生きていたい」と実感できる社会を作る、困難と希望の道のりだろう。

(フリーランス・ライター みわよしこ)